長い長い1日② ・・・’18.8.31のこと。
↓ 前回です。触診で、ひよりのお腹に”何か硬い物”があることが分かりました。
「腫瘍でした」
ひよりのお腹にあるという”何か硬い物”・・・。腫瘍だったらどうしよう・・・。
先生からは開腹手術を提案され、私は迷わず了承した。結果が分かったら電話をくれることになっている。電話を待つ間「ネズミのおもちゃでありますように・・・」と祈る私と、「ひよりの病気は "がん" だったんだ・・・」と絶望する私が交互にやって来ていた。
15:00過ぎ、電話が鳴った。先生からだ。無意識に立ち上がって電話に出る。
先生は、開口一番「腫瘍でした。」と言った。続けて先生は説明してくれた。
「小腸と大腸のつなぎ目あたりに腫瘍ができています。もうかなり大きくて、腸を塞ぎつつあります。今はかろうじてバリウムが通れるくらいの隙間がある状態です。」
無言で話を聞く私を、夫が不安な表情で見ている。私はもう血の気が引いて立っていられず座りこんだ。先生は話を続けた。
「おそらく『腸腺(ちょうせん)がん』だと思います。病理検査をしないと確定診断はできませんが、おそらく私が見た限りリンパ腫ではない感じです。」
「腸腺がん・・・。」私がつぶやいたので、夫がパソコンで『腸腺がん』について調べ始めているようす。先生の話は続く。
「この小腸と大腸のつなぎ目は、絶対に切り取ってはいけない場所です。猫だけでなく人間の場合もそうです。残念ですが、このままお腹を閉じるしかありません。予定していた”胃ろう”も出来ません。もう食べ物は腸を通過できないでしょうから…。」
もう何を言われているのか頭が付いていかない・・・。
残酷な三択
そして、先生から思いもよらない三択を提示された。
「今後のことについて飼い主さんに決めてもらわなければなりません。これから3つの選択肢を言います。むごいお話ではありますが、落ち着いて聞いて下さい。」
私は涙をボタボタ垂らしながら 呼吸をすることに精一杯で、返事もできずにいた。先生に提示された選択肢はこうだった。
①積極的にがんを治療する。
②家で最期を看取る。
③このまま眠ったままで安楽死。
もう声も出せない状態だった私は、絞り出すように
「家に連れて帰りたい・・・・・!」とだけやっとの思いで答えることが出来た。
私の言葉に全てを察して 男泣きに泣く夫が 目の端にぼんやり映っていた。
(『長い長い1日③』につづく)
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【後記】
"胃ろう" を決心するまでに あんなに時間がかかったのに、結局 ”胃ろう” は出来ませんでした。色んな人に背中を押してもらって、ようやく決心した ”胃ろう” だったのに・・・。
異物や腫瘍なら取り除き、元気になるために ”胃ろう” をして帰ってくるはずでした。”胃ろう”さえすれば、また ひよりとの楽しい生活が戻ってくると思っていたのに、それ以外の『取り除けない腫瘍』(=命をあきらめる)という選択肢があったなんて思ってもいませんでした。この現実を目の前にして 夫と2人、しばらくは無言で泣きました。
元気になるために病院に行ったはずなのに、こんなに最悪な結果があるんだろうか。そうだ、きっとすぐに目が覚めて「あー、サイアクな夢見た!」って言うんだ。「夢で良かったねー!」って、ひよりと一緒に笑うんだ。
この日から数日間は、毎日そう思っていました。
(’18.12.12)
長い長い1日① ・・・’18.8.31のこと。
↓前回です。嫌がるひよりにバリウムを飲ませました。
緊張の朝
いよいよ今日は”胃ろう”手術とバリウム検査。
昨日しっかりバリウムは飲めたから、後は先生に全てお任せする。
今日12:00前にひよりを病院に連れていくことになっている。そうとは知らずに眠っているひより。ぐったり眠っているが、吐き気は無さそうで良かった。
ひよりの事が心配で仕事どころではなくなった夫が、仕事を調整して休みを取ってくれた。一人で病院に連れていくのは心細かったので心底ホッとした。
それでもやっぱり不安で不安で、なんとか不安を減らしたくてたまらなくて、軽い気持ちで姪にラインをしてみた。
「ひより、胃ろうになるよ。不安だよー。」と送ると
「猫にも”胃ろう”ってあるんだ?!」と返事。
その後、「でも”胃ろう”作っちゃえば大丈夫だよ!」と返ってきた。
この姪っ子の「大丈夫だよ!」になんだか救われて、不安の水位がスーッと下がった。私の周りには ”胃ろう”を賛成してくれる人は少なかったので、姪が「大丈夫」と言ってくれたことに味方が出来た気がして嬉しかった。
↓病院に連れていく直前のひより
ついにこの時が
11:40、いよいよ病院に連れていく時間が来てしまった。
よく眠っているひよりを起こしてキャリーへ。ゆっくりしているひよりを起こすのはいつでも胸が痛む。ひよりは嫌がって抵抗したがキャリーに入ってくれた。
12:00前に病院に到着。ひよりは緊張して目は真っ黒。体はカッチカチ。体重を測ると3.2kg。前回(8/22)より300gほど減っているが、先生は「それほど減ってませんね。このまま麻酔できますよ。」とおっしゃる。いよいよだ、と思うと緊張で倒れそうになる。
ひよりを置いていくのがかわいそうで、後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。もうあとは先生を信じて任せるしかないんだ。
ひより頑張ろうね。すぐに迎えに来るからね。
夫と2人で昼食をとるべく、近くのファミレスに入ることにした。二人とも緊張して味も何も分からない。夫はポジティブに考えようと必死な様子で、いつもは無口なのに今日はしきりに話している。
「一番いいのは異物だよね。きっとネズミのおもちゃを誤飲してるんだ。今日はそれを取ってもらって、胃ろうもしないで帰れる。うん、それがいい。」
そうだね。確かにいちばんいいのは異物の誤飲。そうだと思いたい・・・けど不安は消えない。
ファミレスにいても落ち着かないので、昼食もそこそこに帰宅する。
ひよりのいない家の中は初めてで、なんだか静かで広々としている。テレビを付けていても落ち着かなくて結局消した。
先生からは、まずはバリウム検査の結果が分かったらお知らせします、と言われている。電話を目の前に置いてドキドキしながら連絡を待った。
電話が鳴る
14:00過ぎ、電話が鳴りビクリとしてしまう。夫と2人で一気に緊張する。
先生「バリウムは肛門まで流れていってます。」
少し安心するが、先生の言葉は続く。
「でも・・・麻酔が効いた状態で触ってみると、お腹のあたりに しっかりした硬いものがあるんです。最初に触診した時は分からなかったんですが・・・。腸に何かあると仮定して改めてレントゲン写真を見ると、そのあたりを避けるようにバリウムが細くなっているようにも見えます。」
え??何?何を言っているの?聞きながら思考が停止してしまう。先生は続けて言う。
「開腹手術をしてみましょう。もし異物や腫瘍だったら取り除きます。いいですか?」
「はい。」私は答えて電話を切った。
”しっかりした硬い物”・・・何だろう?腫瘍?
夫に伝えると、「ネズミだ。ネズミのおもちゃだよ。」と言う。相変わらずポジティブに考えようと必死。自分に言い聞かせているようにも見える。
そうだといい。ネズミならいい。でも・・・違ったら???
(「長い長い1日②」につづく)
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【後記】
私には10歳年上の姉がいます。日記の中に出てくる”姪”は、その姉のひとり娘です。姪は私が中学生の時に生まれて 年の離れた姉妹のように育ちました。アホだ、アホだと思っていたのに、「大丈夫だよ!」と私を励ましてくれて、いつの間にかこんなに頼もしく育ってくれていたことに、この時 今更ながらジーンとしてしまいました。ちなみに現在、姪は高齢者福祉のスペシャリスト(言い過ぎ)で、彼女にとって”胃ろう”はとても身近なことのようです(もちろん人間の)。
写真は、この日 病院に連れていく前のひよりです。この後、寝ているひよりを抱きかかえてキャリーに押し込みます。この写真を見ると、今でも何とも言えない気持ちになります。この時のひよりは、この後に起こる事を何も知らず、私を信頼してゆっくりしていたんだな、と思うと…なんだか たまらないのです。
(’18.12.10)
まずいバリウム ・・・’18.8.30のこと。
↓前回です。”胃ろう”設置と同時にバリウム検査もすることになりました。
また嘔吐
夜中のうちにひよりが嘔吐した。胆汁らしき黄色い液体がトイレの近くに。
昨日も嘔吐したし・・・また体調が悪くなってきた。
ひよりは朝からずっとクローゼットの中で横たわっている。狭いクローゼットの中は ひよりが落ち着ける場所。常にひよりの幅の分だけ開けてある。ここにいるということは、「体調が悪いから放っておいて」ということ。
昨日、”胃ろう”設置と同時にバリウム検査をすることにして予約もとった。バリウムは今夜のうちに私が飲ませることになっている。今日これからバリウムをもらいに病院に行かなくては。
バリウムの飲ませ方や 諸々の心配な事、先生にしっかり聞いておこう。
検査の手順
バリウムをもらいに病院へ。先生に、検査のこと、バリウムの飲ませ方などを聞く。
明日の検査の手順をざっと教えてもらう・・・
まず麻酔をかけてレントゲンを撮り 異物などによる腸閉塞が無いか(バリウムが肛門まで到達しているか)を確認する。
◆異物による腸閉塞があった場合
開腹手術をして異物を取り出し、”胃ろう”はせず その後の食欲回復を期待する。
◆がんなどの腫瘍があった場合
開腹手術をして取れるようなら腫瘍を切除し、”胃ろう”の設置。
◆何も異常が無い場合
”胃ろう”を設置し、その後の様子を見る。
説明はこんな感じだったかな。テンパりながら聞いていたし、メモも取り忘れたのでよく理解していないのだけど、後は先生を信じて全て任せるつもりでいたのでヨシとする。
シリンジに入った5mlのバリウムをもらった。ほんのちょっとだけど、こぼさずに飲ませられるか不安。先生は「少しでも飲めればいいよ」とのこと。
飲ませた直後に吐いてしまう心配もあったので、それも聞いてみると、
「飲んだ3秒後に吐いちゃったらダメだけど、30秒後ならOKだよ。少しでも胃の中にバリウムが残ればその動きを追うことが出来るから。」とのこと。
30秒後なら吐いてしまっても検査はできるんだ。ちょっと気が楽になった。
バリウムを飲ませる手順は・・・
21:00頃、吐き止め薬のセレニアを飲ませる。
(吐き止め薬の効き目は2時間後がMAXなので、バリウムを飲む2時間前に飲ませるのが理想とのこと。)
23:00~24:00頃にバリウムを飲ませる。
嘔吐が無いかしばらく見守る。
バリウムは通常12時間で肛門まで行くはずだから、バリウムを飲ませてから約12時間後の 翌日昼12:00にレントゲンを撮れるように逆算して、この手順になった。
ひよりは相変わらずグッタリと寝ている。今夜は私がバリウムを飲ませなければいけない。こんな体調で、ひよりはバリウムなんか飲めるだろうか。不安でいっぱいになる。
いよいよバリウムを
日が暮れるにつれ緊張してきた。夫と夕ご飯を食べ終えてからは 21:00になるまで時計が気になって仕方が無い。
薬とバリウムは、夫と2人で飲ませる予定になっている。夫も落ち着かない様子。
いよいよ 21:00、まずは薬。
無言で夫と顔を見合わせて 2人で大きく深呼吸をし、ひよりが寝ているクローゼットへ。
ひよりは異変を察知して逃げる体勢。夫がひよりを抑えて私がひよりの口をあけ、オブラートに包んだ薬(セレニア)を放り込む。すぐに口を閉じ頭を固定したまま喉をさする。飲んでくれますように・・・祈りながら喉をさする。
・・・ゴクン。飲んだっ。
はーっ、力が抜ける。良かった。ひとまず吐き止め薬は飲ませることが出来た。
次は本命のバリウムだ。また 23:00まで夫と2人 無言の時間が流れた。
ついに 23:00、バリウム。
また夫と顔を見合わせて さっきより大きな深呼吸をして、バリウムの入ったシリンジと、顔を拭く蒸しタオルを手に取る。
ひよりの眠るクローゼットへ。
ひよりはまたもや逃げる体勢。でも、すぐに夫につかまる。
ひよりを私の膝の上に乗せて、向こう向きに座らせ、ひよりの口の脇からシリンジを噛ませる。夫は、立ち上がろうとする ひよりの両脇を押さえている。
こぼさないように少しずつバリウムをひよりの口の中に流し込む。ひよりはイヤイヤをして私の膝の上で立ち上がり、逃れようとする。グーンと立ち上がったところで、夫に両脇を押さえられ、立った体勢でバリウムを飲んだ。
最後の方は立ち上がった姿勢で固まり、逃れるのを諦めたように必死でバリウムを飲み下していた。
ひよりのツラそうな表情にくじけそうになったが、検査のためだと心を鬼にした。
幸いひよりは嘔吐もせず、時々こぼしながらも バリウムは2/3くらいは飲めたようだ。
ひより、頑張ったね。1度も嘔吐せず よく頑張った。えらかった。蒸しタオルで顔を拭きながらいっぱい褒めた。
よし、これで明日の検査の準備はできた。本番は明日だ。ひより頑張ろうね。頑張って検査して、そして何事も無ければいい。ひより、頑張って元気になろうね!
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【後記】
ひよりが必死でバリウムを飲んだ時の、あの表情。私の膝の上で、後ろ足だけで立ち上がったままの体勢で、全身に力を込めて、目を見開いて、『必死』という言葉がピッタリのあの表情が、何度も何度も何度も何度も蘇ってきます。ひよりはあの時「ひどいことをされている」としか思えなかっただろうと思います。体がシンドイのに、静かに眠っていたいのに、無理やり起こされて、こじ開けられた口からドロドロのバリウムを流し込まれて・・・。
翌日の検査でひよりが がんだと分かった時、私は真っ先にこのバリウムのことを思います。ひよりが最後に 口にしたものがバリウムになってしまった、と。もう助からないならバリウムなんて飲ませたくなかった、と。シンドイ体にドロドロのバリウムなんて拷問以外の何物でもなかった、と。泣いて泣いて泣いて謝り続けることになります。
(’18.12.4)
先生からの提案 ・・・’18.8.29のこと。
↓前回です。ひよ爺親方さんときーちゃんのブログに出会い、ようやく”胃ろう”を決心します。
嘔吐・・・オロオロ(泣)
今日も朝からひよりは口を ”くちゃくちゃ”させている。心配していると嘔吐(!)。白い胃液を吐いている。吐き気はありそうでも、このところ吐く事は無かったので、久しぶりの嘔吐にオロオロして落ち込んでしまう。
ひよりが全身を波打たせて吐くところを見ると不憫でしかたがない。しんどよね...。代わってあげたい...。
ひよりは横になってグッタリと眠っている。時々場所を移動して横になる。移動する時は2mくらいずつ動く。移動しては休み、また移動しては休み...を繰り返して目的の場所まで移動する。だっこして連れて行ってあげたいけど、触ると口を "くちゃくちゃ" させて吐きそうになってしまう。私には見守ることしか出来ないんだよね。分かってる。
体調が悪いひよりを見ると がぜん”胃ろう”をやる気が増してくる。
昨夜、私の背中を押してくれたブログをもう一度読み返し、”胃ろう”についての質問をするべく早速 病院に電話をした。先生にちゃんと聞いてみよう。そして ちゃんと受け止めよう。
質問の回答
電話では①~⑤の質問をし、回答をもらった。先生はいつものように快く質問に応じてくれた。
①”胃ろう”を前向きに考えようと思う。強制給餌も頑張っているが、”胃ろう”の方がいい?
<回答>強制給餌で1日に必要な栄養を充分取れればいいけど それは難しい。”胃ろう”なら充分なゴハンを食べられるだけではなく、薬のコントロールも簡単に出来るし、苦い薬を吐き出してしまうことも無くなる。強制給餌よりも断然おすすめ。ひよりちゃんの状態を聞いていると、もう”胃ろう”をしてもいい段階だと思う。
②”胃ろう”をしたら傷口はどうなるの?
<回答>傷口はすぐに塞がってチューブも安定するし、痛くはないよ。傷口が塞がるまで(1週間くらい)はエリザベスカラーだけどね。
③食べられるようになったら"胃ろう"はすぐに外せる?
<回答>しばらく様子をみて、ひよりちゃんが自分で食べられるようになったら、その後 外せるかどうか検討していくよ。外す時はまたよく相談して慎重に決めよう。外した後の穴(傷口)は簡単に塞がるから心配しないで。
④”胃ろう”の設置は全身麻酔。ひよりは痩せてしまって体重も3kgちょっと。ひよりの体力は大丈夫?
<回答>前回の血液検査でも内臓の数値に異常はないし、麻酔に耐えられないという心配は無いと思う。それに、体重3kgは通常体形だよ(笑)。ひよりちゃんは元々5キロ近くあって急に痩せてしまったから、飼い主さんにとってはガリガリに見えるよね。絶対大丈夫とは言えないのが麻酔なんだけど、でも体重がそれだけあれば充分麻酔できるよ。
何かの拍子にチューブが抜けてしまうんじゃないか とか、嘔吐したらチューブが出てきてしまうんじゃないか とか、質問事項が後から後から出てきて止まらないので、細かい事は設置した時に教えて下さることとなった。
先生からの提案・・・バリウム検査
そして先生はひよりのために提案をしてくれた。
「ひよりちゃんは元々ストレスに弱いし、今の状況を考えても これ以上ストレスで体力を使わせたくない。”胃ろう”のチューブを設置する時は全身麻酔で行うから、せっかくなら麻酔がかかっている間にバリウム検査もしたいと思うんだけど、どうでしょう?
通常、バリウム検査は1日がかりで、猫ちゃんにバリウムを飲んでもらって無麻酔(時には軽い麻酔)で行います。そして、数時間おきにレントゲンを撮り 胃腸内のバリウムの動きを見ていくんです。だけど、ビビリのひよりちゃんにはそれが大きな負担になり、体力も使ってしまうと思う。だから、時間を追ってレントゲンを撮る方法はとらずに、バリウムが肛門まで行くかどうかだけ見たいと思うんだけど、どうですか?」
とのこと。
つまり、胃や腸の途中の画像は見ずに、肛門までバリウムが流れていっていることだけ確認して、腸の途中で何かが詰まって塞がっているという可能性を まずは消しておきたい、とのこと。
私はそれに賛成した。先生は ひよりの性格を理解して下さり、いろいろ考えてくれていたようだ。本当にありがたく、いい先生に看てもらっていることに感謝した。
金曜の午後は病院が休診で、先生はその休診の時間をひよりのために使うことが出来ると言って下さり、あさって31日(金)の午後、胃ろう設置とバリウム検査をすることとなった。
バタバタとバリウム検査も決まり、少し(飼い主が)パニクり気味。
ひよりを見ると、何も知らずに眠っている。また、嫌がるこの子をキャリーに入れて病院に連れていき、この子の了解も取らずに お腹に穴をあけちゃうんだなと思うと、ごめんねという気持ちでいっぱいになる。
でも しっかりしなくちゃ。これでちゃんと検査をして、"胃ろう"も設置しすれば、あとは元気になっていくだけだよね!
全身麻酔や、検査の結果や、これからの"胃ろう"管理など不安だらけだけど・・・ひよりと一緒に頑張っていこう。しっかりしろ、私!
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【後記】
"胃ろう"の決意をしたものの、やっぱりこの時は不安で不安で たまりませんでした。検査で良くない結果が出たらどうしよう とか、”胃ろう”の管理なんて本当に私に出来るのか とか...どうしても後ろ向きな思考になってしまい、いっぱいいっぱいでした。
”胃ろう”の設置後はしばらくエリザベスカラーだというので、ひよりのストレスが軽いものになるよう 手作りのエリザベスカラーを考えたりして、不安な思考を遠ざけるのに必死になっていました。
この時、前向きな考え方が出来なかったのは「虫が知らせた」からなのでしょうか。
結局・・・この8/31の検査で がんが見つかることになります。
(’18.11.30)
”胃ろう” を決意させてくれたもの ・・・’18.8.28のこと。
↓前回です。強制給餌に罪悪感を感じながらも”胃ろう”も受け入れられずにいます。
”くちゃくちゃ” がやって来た
恐れていた "くちゃくちゃ" が またやって来てしまった。
ここのところ吐き気は無かったのに、ひよりは午前中 調子が悪そうで、口を”くちゃくちゃ”させている。口にどんどんヨダレがたまってしまうようで、何度もくちゃくちゃゴクンと吐き気をガマンしている・・・。
やっぱり”くちゃくちゃ”を見ると一気に不安な気持ちに襲われる。
強制給餌なんて体調が良いからできる話。やっぱり "胃ろう" には敵わないかもしれない。
きちんと先生に話を聞いて、”胃ろう” のことも考えていかなくちゃいけないかな。
でも、”胃ろう” になったらもう後戻り出来ないんじゃないの?また自分の口から食べられるようになるのかな?もう不安で不安でたまらない。
先生に話を聞いて納得いくまで質問すればいいことだけど、先生はとても簡単なことのように言うから、どうしても気持ちが置いて行かれる。そんな簡単なことなのかな?色々悪い方に考えてしまう。。。
調べても調べても・・・
例のごとく、ネットで "胃ろう" を調べまくる。不安な気持ちをなんとかしたい。
調べてみると・・・闘病中の猫さんがどんどん食べられなくなっていき、もう口から食べるのは無理だね・・・という流れで"胃ろう"になっていく、といったものが多い印象。
前向きな印象で書かれているものだと・・・
「猫ちゃんに苦痛はないから大丈夫。」とか、(心の声:苦痛はないけど一生続くってこと?)
「チューブは1年ごとに交換するけど、交換の時は麻酔はしなくていいんです。」とか・・・。(交換しながら何年も続けるの?)
で、悪い印象の情報は・・・
「延命にすぎない」なんていうものも。(・・・・・。)
うーん・・・「"胃ろう" をやったけど、今は外して元気に自分で食べてるよ!」みたいな話ってないんだろうか。。。
ひより、一生 "胃ろう" で生きていくことになったらどうしよう。
たまらない気持ちになり泣けてくる。
背中を押してくれたもの
そんな時、あるブログが目に留まる。猫さんの"胃ろう" の話だ。。。一気に読んだ。
ああ、これ・・・なんだか求めていたものにたどり着いた気がする!
↓私を救ってくれたのがコチラ。
「寝たきりでも末期でもございません」って書いてある!
「一時的に栄養を補給することもある」って書いてある!
「普通に日常生活を送れる」って書いてある!
「走り回ることもできる」って書いてある!
「オロオロ無用」って書いていある!
繰り返し、繰り返し 読んだ。何度も読んでいるうちに落ち着いてきた。
"胃ろう" になったら、毎日何をするのかという事も書いてくれている。
そうか、薬も一緒に入れられるんだね。
”胃ろう”になってもダッシュ出来るんだね。
食べられるようになったら”胃ろう”をやめられるんだね。
記事の中に添付してあった別のサイトも、とても参考になった。
うん。これなら私とひよりにも頑張れるかも知れない。
明日、先生に”胃ろう”についてきちんと聞いてみよう。先生の説明にも ちゃんとついて行ける自信が出てきた。
早速、先生への質問事項をまとめることにした。
ひより、私も頑張るから一緒に頑張ろうね。しっかり栄養をとって早く元気になろうね。
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【後記】
この時、私の背中を押してくれたのは、以前 下記の記事で紹介させていただいた、ひよ爺親方さん(id:chakibineo0316 )のブログでした。
こうしてようやく私は、ひよりの”胃ろう”を決意します。”胃ろう”に関しては、周囲の人たちの賛成意見が少なかったこともあり、決意するまで本当に時間がかかってしまいました。この時はまだ、まさか ひよりが『がん』であるとは思っていなかったので、”胃ろう”がどうしても大袈裟に思えてしまっていたのです。(夫も周囲も、ちょっと体調をこじらせて膀胱炎も併発した くらいに思っていました。)
スロースターターの私はいつでも決断が遅くて、その分ひよりにしわ寄せが行きました。もっと早く決断できれば、ひよりにとってツライ強制給餌もしなくて済んだはずです・・・。
(’18.11.27)
強制給餌の罪悪感 ・・・'18.8.26~27のこと。
久しぶりのうんちは・・・下痢
8/26、22:00頃 ひよりがトイレに起きる。おしっこかと思ったらうんちの体勢。8/17以来のうんちだ。一週間以上うんちが出なかったことになる。食べてないから当たり前か・・・。
うんちが終わったようなので見に行ってみると、下痢をしている(!)。茶色の水のような下痢が2滴くらい。そしてすぐに2回目のトイレ。今度は4~5滴。水下痢に血が混ざっている(!)。慣れない療法食で血便が出てしまったのかな。ひよりはトイレの近くに箱座りでうずくまる。お腹がいたいの?強制給餌がいけなかったんだ。食べられたと思って喜んでいたけど、下痢をさせたら意味が無いよね。ごめんね・・・。
10分くらいするとまたトイレ。
今度はマヨネーズくらいの軟らかさ。太さは鉛筆くらいでちょっと細めだけど、形のあるうんちが出た。ということは、先生が話してくれたみたいに異物の誤飲によって腸が塞がっているという事は無さそう?
その点は少し救われた気持ちになる。
トイレが終わると ひよりはテンション低めでクローゼットへ。今夜はクローゼットで寝るのかな。おやすみ、ひより。今日は吐き気はないようだから、薬(セレニア)はお休みしようね。
イヤイヤをしながらも、ひよりは頑張って食べてくれたのに、結局 下痢をさせてしまった。私の判断は間違っていたのかな。
強制給餌は、ひよりにとって良いことをしている気持ちになれなくて、罪悪感でいっぱいの私がいる。
”胃ろう”ってどうなの??
8/27、起床するとひよりはクローゼットにいる。
横になって元気が無いようす。下痢の後はトイレに入った形跡も、もちろんゴハンを食べた形跡もない。夜の間ずっとここにいたのかな。お水をもって行ってみると ちゃんと飲んでくれて安心する。でも、相変わらず ゴハンは自分から食べようとしない・・・。
強制給餌はどうしても ひよりの嫌がることを無理やりしている感があって、前向きに頑張れない。そうなると、先生にすすめられた”胃ろう”のことが現実味を帯びてくる。
ただただ不安に思っているばかりでは何も解決しないので、ネットで "胃ろう" を調べてみることに。
調べてみると獣医師の方の記述が出てくる。『”胃ろう" や "食道ろう" は、食べられない犬や猫には一般的に行われる処置です。』と書いてある。
うーん…獣医の先生にとっては ”一般的” でも、私たちにとっては違うよね?食べないからって「はい、やりましょう」ってやることじゃないよね??だって、お腹に穴を開けるんだし、全身麻酔だし。
いっこうに不安は消えない。
「だって、このお腹に穴を開けるんだよ??」
マタタビを試す
13:50頃、ひよりの好きなウェットフードのシーバを与えてみる。今日は少しマタタビを入れてみた。少しでもゴハンに興味を持ってもらえるように。興味はあるようすだったが、ひと舐めして終了。やっぱり自分からは食べない。今日も強制給餌かなぁ。ゆうべ下痢をしたから やりたくないなぁ。
17:30頃、子猫用ミルクをスポイト1本分準備。ひよりの奥歯にスポイトの先を噛ませて、むせないようにゆっくり飲ませる。ほとんどこぼしたけれど、少しは飲みこめたかな。
再度マタタビ入りシーバ。今度はマタタビを少し多めに入れてみた。匂いを嗅いでちょっと興味があるようす。少し舌を当てて舐めたようだが、すぐにやめてしまう。それどころか、マタタビに反応してシーバスープに後頭部から倒れこむ。そのまま ゴロンゴロンねりねりを始めてしまう。首のあたりがシーバスープでベタベタに。マタタビは失敗だったな。。。
でも、食べ物の匂いを嗅いだりして少しは興味があるようだ。今日も吐き気が無いのが救い。
ならば、食べさせなくちゃ
重い気持ちを奮い立たせて強制給餌の準備をする。吐き気が無いなら食べさせなくちゃ。
昨日、下痢に血が混じっていたので、療法食以外にもいつものカリカリを3割くらい混ぜることにした。いつか先生が言っていた ”初めての食べ物” で血便が出た可能性があるからだ。
↓血便が出た時のはなしはこちら。
さっき、マタタビには反応してくれたので、マタタビの匂いをかがせながら強制給餌をしてみる。相変わらずひよりはイヤイヤしっぱなしだが、昨日よりはこぼす量が減ったような気がする。
でも、昨日は吐き止め薬のセレニアを休んだので、そろそろ吐き気が出てきてしまうんじゃないかと心配になる。今夜はちゃんと飲ませないと。
吐き気も無く強制給餌ができていればいいけど、いつ吐き気が襲ってくるかわからない。そうなったら強制給餌は無理。
強制給餌の罪悪感と 吐き気が襲ってくるかもしれない不安…。もうやっぱり ”胃ろう” しかないのかな…。
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【後記】
結局『強制給餌を頑張る』という決心は、私の自己満足に過ぎなかったんだと思います。ただ "胃ろう" が怖くて逃げたかっただけでした。私の自己満足のせいで、ひよりをたくさん苦しめてしまいました。
ひとつお詫びがあります(^-^; 初心者ブロガーあるある かもしれませんが、『ブックマーク』にコメントが書かれていることに初めて気づきました。コメントして下さった方々、長い間スルーですみませんでした(>_<) あたたかいコメントが心に沁みて涙が出ます。ありがとうございます。
ブックマークなるものの存在には うすうす感付いてはいたのですが、そこにコメントが書きこめるシステムだったとは。そして、未だにブックマークとは何ぞや??とハテナマークいっぱいです。。。
ブックマークって、コメントに返信したりはできないのですかね?スターを付けるだけですかね?勉強せねば。
(’18.11.24)
血液検査の結果 ・・・’18.8.26のこと。
↓前回です。先生に、胃に穴を開けてチューブを入れる”胃ろう”を提案されましたが全く受け入れられず、強制給餌を頑張ろうと決意します。
今日の体調は?
ゆうべは、先生に提案された ”胃ろう” のことが頭をぐるぐる巡って、あまり眠れなかった。
ひよりはリビングで夜を過ごした様子。私が起きると入れ替わりで寝室の隣のクローゼットに行ってしまう。今日も避けられている?具合が悪いのかな。
具合が悪いと強制給餌はできないから、”胃ろう”のことがどうしても頭をチラつく・・・。
おそるおそる「ひよちゃん」と声をかけてみる。口の”くちゃくちゃ”はなかった。セーフ。吐き気は見られない。体調は悪くない感じ?
先生からの電話
そんなことを考えていると電話が鳴った。出てみると先生からだった。血液検査の結果だと分かり にわかに緊張する。
「とくに異常は無いんだよねー。」結論から言ってくれて拍子抜け。
「まあ、少し基準から外れている項目もあるけど、嘔吐が止まらない程の数値じゃないし…。」とのこと。
じゃあ、やっぱり本当にただの膀胱炎??
先生は「あとは、バリウム検査をして他の病気の可能性を消していきたいね。」とおっしゃり、私は検討することにして電話を切った。
”ただの膀胱炎”かどうか、他にも検査をしなければ分からないそうだ。バリウム検査は一日掛かりで、お腹に入ったバリウムの動きを追って数時間おきにレントゲンを撮らなければならず、ストレスに弱いひよりにはキツい検査だ、と先生はおっしゃった。
次から次へと課題が出され、気持ちが追いついて行かない・・・。
よし、強制給餌をしよう
掃除機がけや洗濯が終わって静かになると、ひよりがクローゼットから出てきてリビングで横になる。体調よさそう。良かった。
11:00頃、吐き気も無いようなのでごはんを出してみる。相変わらず顔をそむけて自分からは食べようとしない。
ならば、強制給餌をしよう。ロイヤルカナンの療法食ペーストを準備する。すり鉢でカリカリを細かく砕き、ぬるま湯を入れて練る。
今日はせっかくリビングでゆっくり寝ているのに、ひよりを起こすのは胸が痛む。ひよりは気配を感じ取り逃げようとするが、すぐにつかまった。
指に療法食ペーストを取り「ごめんね」と謝りながら、ひよりの口をこじ開けて上あご辺りに塗り付ける。ひよりはイヤイヤをしてなんとか逃れようとする・・・。
努力の甲斐あって、昨日よりは食べてくれたようだ。頑張ったね、ひより。いい子だったね。
その後、自分から食べてくれないかと、ちゅーるをあげてみると、舐める様子で舌を出す。でもほんの少し舌を当てる程度で結局食べない。なんで?
夕方16:00頃、ひよりの様子を見に行くとスヤスヤ眠っている。またご飯を食べさせたかったが起こすのがかわいそうで、迷った末ご飯は後にすることに。
今日は体調がいいためか、ゆっくり眠れているようだ。
シリンジを使ってみる
18:00頃、ロイヤルカナン療法食ペーストを準備する。せっかくなら栄養たっぷりな方がいいと思い、ぬるま湯だけではなく子猫用ミルクも使ってペーストにしてみることを思いつく。
不味いかなぁ。でも、どうせ嫌がるんだったら不味くても栄養がある方がいいよね。
ミルクを入れて少しゆるめにペーストを作って、今回はシリンジであげてみることにする。シリンジは、強制給餌をネットで調べまくった時に見つけたものを買ってあったので使ってみることに。
↓私が買ったものはコレ
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シリンジは慣れていないので、歯茎に傷を付けてしまうのではないかとビビリながら使った。でも、シリンジの先を奥歯で噛ませてしまえば、ひよりは口を閉じることが出来ないので、ちゃんと口の奥の方にペーストを流し込むことが出来たようだ。それでもひよりのイヤイヤは変わらないけど・・・。
シリンジという器具を使っている分、こっちが卑怯な手(?)を使っている気がしてヘコんでしまう。。それに、水分が多めだと量も多くなってしまうので、強制給餌の時間が長くなる。ごめんね。ひより。。。
さっきよりはたくさん食べることが出来た!いっぱい褒めて、褒めて、褒めて、いっぱいブラシもした。吐き気が襲ってくることもなく、ひよりは爆睡。
今日は強制給餌をけっこう頑張れた。ひよりもすごく頑張ってくれた。今日みたいな体調が続いて、いっぱいご飯も食べて早く体力が戻ればいい。
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【後記】
強制給餌のやり方はネットでたくさん調べました。動画もたくさん見ました。
動画の猫さんたちは、強制給餌をされて 嫌々ながらも ちゃんとモグモグゴクンと食べていました。食べたくは無さそうだけど、口に入れられるから仕方なく食べるという印象。
それとは違って ひよりは、毎回イヤイヤをして首を振って口から食べ物を飛ばし、狭いクローゼットから逃れようと戸を手で開けようとし、手も足も、体全部を使って全力で拒んでいました。強制給餌が終わるとひよりも私もグッタリで、食べたごはんのカロリーよりも、抵抗して使ってしまったカロリーの方が多いんじゃないかと思う程でした。
強制給餌がひよりに負担をかけるなら、もしかして”胃ろう”の方がいいんじゃないか。だんだん気持ちが傾いてきて、この後、私は”胃ろう”についても知識を得ようと猛然と調べ始めます。
(’18.11.22)