こころの穴は ねこのかたち。

~愛猫ひよりの病気のはなし。そして・・・ひよりのいない”今”を綴っています。~

長い長い1日① ・・・’18.8.31のこと。

 ↓前回です。嫌がるひよりにバリウムを飲ませました。

chatorajirushi.hatenablog.com

緊張の朝  

いよいよ今日は”胃ろう”手術とバリウム検査。

昨日しっかりバリウムは飲めたから、後は先生に全てお任せする。

今日12:00前にひよりを病院に連れていくことになっている。そうとは知らずに眠っているひより。ぐったり眠っているが、吐き気は無さそうで良かった。

ひよりの事が心配で仕事どころではなくなった夫が、仕事を調整して休みを取ってくれた。一人で病院に連れていくのは心細かったので心底ホッとした。

それでもやっぱり不安で不安で、なんとか不安を減らしたくてたまらなくて、軽い気持ちで姪にラインをしてみた。

「ひより、胃ろうになるよ。不安だよー。」と送ると

「猫にも”胃ろう”ってあるんだ?!」と返事。

その後、「でも”胃ろう”作っちゃえば大丈夫だよ!」と返ってきた。

この姪っ子の「大丈夫だよ!」になんだか救われて、不安の水位がスーッと下がった。私の周りには ”胃ろう”を賛成してくれる人は少なかったので、姪が「大丈夫」と言ってくれたことに味方が出来た気がして嬉しかった。

↓病院に連れていく直前のひより

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ついにこの時が

11:40、いよいよ病院に連れていく時間が来てしまった。

よく眠っているひよりを起こしてキャリーへ。ゆっくりしているひよりを起こすのはいつでも胸が痛む。ひよりは嫌がって抵抗したがキャリーに入ってくれた。

12:00前に病院に到着。ひよりは緊張して目は真っ黒。体はカッチカチ。体重を測ると3.2kg。前回(8/22)より300gほど減っているが、先生は「それほど減ってませんね。このまま麻酔できますよ。」とおっしゃる。いよいよだ、と思うと緊張で倒れそうになる。

ひよりを置いていくのがかわいそうで、後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。もうあとは先生を信じて任せるしかないんだ。

ひより頑張ろうね。すぐに迎えに来るからね。

 

夫と2人で昼食をとるべく、近くのファミレスに入ることにした。二人とも緊張して味も何も分からない。夫はポジティブに考えようと必死な様子で、いつもは無口なのに今日はしきりに話している。

「一番いいのは異物だよね。きっとネズミのおもちゃを誤飲してるんだ。今日はそれを取ってもらって、胃ろうもしないで帰れる。うん、それがいい。」

そうだね。確かにいちばんいいのは異物の誤飲。そうだと思いたい・・・けど不安は消えない。

ファミレスにいても落ち着かないので、昼食もそこそこに帰宅する。

ひよりのいない家の中は初めてで、なんだか静かで広々としている。テレビを付けていても落ち着かなくて結局消した。

先生からは、まずはバリウム検査の結果が分かったらお知らせします、と言われている。電話を目の前に置いてドキドキしながら連絡を待った。

 

電話が鳴る

14:00過ぎ、電話が鳴りビクリとしてしまう。夫と2人で一気に緊張する。

先生「バリウムは肛門まで流れていってます。」

少し安心するが、先生の言葉は続く。

「でも・・・麻酔が効いた状態で触ってみると、お腹のあたりに しっかりした硬いものがあるんです。最初に触診した時は分からなかったんですが・・・。腸に何かあると仮定して改めてレントゲン写真を見ると、そのあたりを避けるようにバリウムが細くなっているようにも見えます。」

え??何?何を言っているの?聞きながら思考が停止してしまう。先生は続けて言う。

「開腹手術をしてみましょう。もし異物や腫瘍だったら取り除きます。いいですか?」

「はい。」私は答えて電話を切った。

”しっかりした硬い物”・・・何だろう?腫瘍?

夫に伝えると、「ネズミだ。ネズミのおもちゃだよ。」と言う。相変わらずポジティブに考えようと必死。自分に言い聞かせているようにも見える。

そうだといい。ネズミならいい。でも・・・違ったら???

(「長い長い1日②」につづく)

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【後記】

私には10歳年上の姉がいます。日記の中に出てくる”姪”は、その姉のひとり娘です。姪は私が中学生の時に生まれて 年の離れた姉妹のように育ちました。アホだ、アホだと思っていたのに、「大丈夫だよ!」と私を励ましてくれて、いつの間にかこんなに頼もしく育ってくれていたことに、この時 今更ながらジーンとしてしまいました。ちなみに現在、姪は高齢者福祉のスペシャリスト(言い過ぎ)で、彼女にとって”胃ろう”はとても身近なことのようです(もちろん人間の)。

写真は、この日 病院に連れていく前のひよりです。この後、寝ているひよりを抱きかかえてキャリーに押し込みます。この写真を見ると、今でも何とも言えない気持ちになります。この時のひよりは、この後に起こる事を何も知らず、私を信頼してゆっくりしていたんだな、と思うと…なんだか たまらないのです。

(’18.12.10)