「腸腺がんでした」 ・・・’18.9.10のこと。
↓前回です。ひよりは私たちを避けて、狭い隙間に身をひそめるようになりました。
またもや行方不明
早朝4:00過ぎ、姿見の後ろにうずくまっていたひよりが、再び移動を始める気配が。
リビングに行ったのかな。しばらくして行ってみるがリビングに姿は見えない。押し入れかな?開けてみるがここにも姿はない・・・。
移動の気配は私の気のせい?再び寝室へ戻り、鏡の後ろやクローゼットの中を見る。
・・・いない。途方にくれる。
昨日うずくまっていた場所、狭い隙間をくまなく探す。やっぱりいない。
洗面所は扉が閉まっていたから入れないはず。念のため見る・・・やっぱり、いない。
もしかして玄関??行ってみる。
・・・いた!!
作り付けの靴箱の下、狭い隙間に寝そべっている。
「ひより、ここにいたの・・・心配したよ」
声をかけると目を細めてくれた。良かった、落ち着いている。
撫でてみると、いっそう目を細めてじっとしている。良かった・・・。
落ち着いているひよりを見て安心し、起床時間まで私はベッドで眠ることにした。
とはいえ、何か物音がする度にひよりの事が気になって様子を見に行ってしまう。ひよりは変わらず玄関にいて、私は安心してベッドへ戻る・・・。起床まで何度か繰り返してしまった。
朝6:00頃ウトウトして目を覚ます。ベッドの中で耳を澄ますと、ひよりが吐いているような気配が。急いで布団を出て玄関へ行く。
ひよりは靴箱の下を出て、冷たい玄関の床でうずくまっている。神妙な表情。
まもなくえづき始めてしまい、少量の嘔吐。透明の液体。しばらく神妙な顔でうずくまっていたが、落ち着いたのか移動を始めた。
どうやら押し入れに入るようす。ゆっくり休めるといい。
「やはり腸腺がんでした」
10:00頃、動物病院の先生から電話。
「病理検査の結果ですが、やはり腸腺がんでした」
いつものように前置きも無く先生が言う。検査結果が出るまでに結局10日かかった。先生は続ける。
「残念ですが、有効な抗がん剤はありません。」
私はもうがんの種類なんてどうでも良くなっていた。ひよりが穏やかに過ごせること、それだけを考えていた。抗がん剤なんて、もし有効なものがあったとしても今のひよりに病気と闘わせることなんて出来ない。
もう何の治療も望まないことを先生に告げて、以前まとめておいた質問事項を伝えた。
◆ひよりが辛そうな時、病院に連れて行かずに私が出来ることは何があるか。
ステロイド剤を飲ませる方法がある。嘔吐には効かないが、炎症を起こしているであろうがん細胞には効果があるので、その炎症の辛さは軽減できると思う。
ステロイド剤の副作用で食欲が出ることがあり、ひよりちゃんの場合、食べればまた嘔吐があるかも知れない。吐き止めのセレニアも効きにくくなっているから嘔吐に関しては何とも言えないが、がんの痛みにはよく効くので体はだいぶ楽になるはず。
◆これからどういう症状が出るか。
①腫瘍が破裂するようなら下血が考えられる。(現在ひよりが茶色い液体を吐く事があることを話すと)腸に出来たがんだと吐血は考えにくい。もし吐血があるなら別の原因。度重なる嘔吐で食道に炎症が起きていて出血している可能性もあるし、またはがんのストレスは相当なものだから胃潰瘍になっている可能性もある。
もし、嘔吐した茶色い液体が血液ではなく便だとしたら、腸が完全に塞がってしまっているということ。嘔吐物の匂いを確かめてみるといい。
②何も食べられず水も飲めず嘔吐が続くようなら、栄養失調や脱水症状が考えられる。がんが成長しなくても体力が落ちてくることにより徐々に歩けなくなったり等衰弱してくることが考えられる。
◆余命はどれくらいと考えればいいか。
上記の①が起これば今すぐにでも可能性がある。がんの状態を見ることが出来ないのでなんとも言えないが・・・。
上記の②ならば、今後の食欲や嘔吐の状態によっても変わってくるが1週間前後と覚悟してほしい。 もし、点滴に通うことが出来ればもっと長い可能性もあるが、こればかりは本人(ひより)の体力によって大きく変わるので何とも言えない。
先生の回答は以上。まずは、ステロイド剤をすぐに受け取りに行くことを伝えて電話を切った。
点滴をどうするか...悩みどころ。でももう病院に連れていく気はない。
ひとまずステロイド剤をもらって飲ませてみて、その後のことはそれから考えよう。
病院にステロイド剤をもらいに行き急いで家に帰ってみると、ひよりはまだ押し入れにいた。
落ち着いているようなので、嘔吐で汚れた鼻のところだけおしぼりで拭いてみた。口元を拭こうとすると、薬を飲ませる時みたいに舌をペロペロさせて嫌がるのでやめておく。
今は落ち着いているようなので、ステロイドは夫が帰宅してから飲ませるかどうか考えよう。
金魚鉢がお気に入り
洗濯物を干していると、ひよりが押し入れから出てきてベランダを眺めている。
ベランダを眺めるなんて何日ぶりだろう。ビックリしてしまう。体調がいいのかな。窓を開けてあげると気持ち良さそうに外の風にあたっている。
メダカ用に水を溜めておいた丸い金魚鉢に興味があるようなので、近づけてみると金魚鉢の中に頭を入れて水を飲んだ。
久しぶりに自分で水を飲んでいる。嬉しくて新鮮な水を別の器に用意したが、ひよりは金魚鉢がお気に入りのようで、しばらく頭を入れて水を飲んでいた。
写真は子猫の頃のひより。この金魚鉢に頭を突っ込んで久しぶりに水を飲みました。
ステロイド剤を試みる
夫が帰宅して、いよいよステロイドを飲ませることに。薬とスポイトに入れた水、温かいおしぼりを準備する。
夫にひよりの体をおさえてもらい、私がひよりの口を開けて薬を放り込もうとするも、ひよりは必死の抵抗。
どんどん薬の拒否が上手になる。ひよりは手を使って薬を払い落そうとし、ブンブンと首を振り、私の指を噛み、全力で抵抗する。
2度挑戦するも、2度とも失敗。くたくたになる。ひよりもくたくた。こんなに抵抗する力があることを喜べばいいのか・・・。でもそれ以上に、抵抗することに体力を使い過ぎてしまっている気がして、私も夫も落ち込みが止まらない。
今日はステロイドは諦めることにした。
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【後記】
ステロイドを飲ませるのを失敗した後、私と夫は大喧嘩をしました。二人とも、ひよりに余計な体力を使わせてしまったことが申し訳なくて、結局 薬を飲ませることが出来なかったことが残念で 各々で自分を責め、ぶつけどころのない気持ちをお互いにぶつけてしまったのでした。
夫は「ひよりにこんなに嫌な思いをさせて、もしこのままひよりにもしもの事があったら、俺はひよりにとって嫌な人間で終わるじゃないか。」と言い、私は「そんな事、私は毎日毎日考えている。それでも、今ひよりが楽でいられればと思ってお世話をしているんだ。たまにしかお世話しないのに自分だけ辛い目に合ってるみたいな顔をしないで。」と言い返しました。
ひよりは私たちのケンカが大嫌いなのを分かっていたのでヒソヒソ声でケンカしましたが、ひよりにはきっとバレバレだったと思います。今でも大きな反省事項です。
(’19.3.4)
<通院の覚え書き>(飼い主のみ病院へ)
9/10 プレドニン5mg(ステロイド剤) 4錠(4日分) ¥430-
(ひより体重 2.7kg)