こころの穴は ねこのかたち。

~愛猫ひよりの病気のはなし。そして・・・ひよりのいない”今”を綴っています。~

茶とらの毛皮を脱ぐとき ・・・’18.9.17のこと②(最後の1日)。

 ↓前回です。ひよりは意識を失い、横になったまま手足を動かし”歩き”続けました。

chatorajirushi.hatenablog.com

 

 今回の記事には愛猫ひよりの「最期の時」の描写があります。ご自身の体験を思い出されたり、不快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。そのようなご不安がある方はここでページを閉じてください。。。

 

 ひよりが首を動かした?!

一睡もせずひよりに付きそう私を夫が心配して、「少し眠ったら?」と言ってくれた。

私はひよりの事が心配で眠りたくなんかない。夫が「倒れる前に少し寝なさい!何か変化があったら絶対に起こすから!」と約束してくれて、少し眠ることにした。

 1時間くらい眠っただろうか。夫が私の名前を呼ぶ声で飛び起きた。

ふとんを跳ね飛ばしてひよりのところへ行ってみると、夫が「ひよりが首を上げた!」と言う。

意識は無い様子・・・。何が起こったんだろう。ひよりが首を動かすなんて信じられない。意識が無いのに首を上げるなんて。首を上げたひよりを実際に見ていない私は、どうしても信じられずにいた。ひよりはまた同じように、ゆっくりと手足を動かし続けていて変わった様子は無かった。

今度は夫に眠るよう促すと、とりあえずシャワーを浴びたいと言って浴室へ。(夫は夕べからちょくちょく仮眠をとっていた。)

夫は急いでシャワーを浴び、ひよりの様子に変わりがないことを確認すると、ドライヤーで髪を乾かし始めた。すると、ドライヤーの音に反応するようにひよりの首がくいっと動いた。(!!!)慌てて夫を呼ぶ。

そうか、何かの音に反応して筋肉が動いてしまうんだ。反射みたいなものなのかな・・・。

・・・ってことは、耳はまだ聞こえている!そういうことだよね?!そう思うと なんだか嬉しくなった。

 

どうしても引き止めてしまう・・・

 その後もずっと、ひよりはゆっくりと手足を動かして歩き続けたが、1度だけ手足をピーンと伸ばし、しっぽの先まで力を入れる瞬間があった。尿がツーっと出て、慌てた私は思わず「ひより?!しっかり!」と声をかけた。するとその声に応えるようにすぐにひよりはまた元の体勢に戻り、ゆっくりとゆっくりと歩き始めた。

また「しっかり!」なんて引き止めるようなことを言ってしまったな・・・。ひよりは無理してそれに応えてくれたのかな・・・。などと反省しつつもホッとしてしまった。まだひよりはここにいる。まだ一緒にいてくれる・・・。

 

「その時」  

 夕方になっても、ひよりは一歩一歩ゆっくり手足を動かしていた。そして、何度目かにひよりのシーツを替えようとしたとき、またしてもひよりの手足の動きが止まった。さっきとは様子が違う。全身に力が入っている。(!!!!!)

びっくりして「ひより?!」と名前を呼ぶ。ひよりは、くーっと手足に力を入れて伸ばし、しっぽを膨らませている。ヒゲがざわっと前に向かって伸びて口元にも力が入っているのが分かる。私も夫も息を飲んで「その時」を覚悟する・・・。

夫と2人で何度も「ひより!」と名前を呼ぶ。すると、ひよりは全身に力を入れたまま「なー」とひと声鳴いた。

「!!!!!?」

「ひより!?ひより!!」

力いっぱい伸ばした手足から徐々に力が抜けていく...

顔からもしっぽからも徐々に力が抜けていく...

 

そして...

ゆっくりと時間が止まるみたいに、ひよりの表情が”無”になった...。

夕方17時頃だった。

 

自由に・・・

ああ、ひよりは自由になったんだ。たくさん頑張ったひよりの体が静かに横たわっている。「私のかわいいひより、最後に返事をしてくれたんだね。ありがとうね。私のひより…。かわいいひより…。」泣きながら何度もひよりの体をなでて話し掛けた。

毛皮を脱ぐ作業がこんなに大変だなんて。こんなにも長い時間、こんなにもたくさん歩き続けるなんて・・・・・。

 ひよりが倒れてから17時間、意識を失ってから実に15時間以上がたっていた。

 ひよりの表情はとても安らかで、静かな寝顔だった。病気の体をようやくぬけ出して、自由に、楽になれた。たくさんたくさん頑張ってくれた。

 あふれる気持ちはうまく言葉にならない。夫も同じ気持ちのよう。

私たちは泣きながら「かわいいひより。大好きだよ。」ばかりを繰り返していた。

 

ポンコツ飼い主だったけど、いっぱい愛してくれてありがとう。ひよちゃんの愛はたっくさん受け取ったよ。

 私がそちらに行く時は必ず迎えに来てね。それまで待ってて。

世界一大切なひより。大好きだよ。』

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「ひと足先にいくね」

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【後記】

ひよりが「その時」を迎えるまでの記録、本日で終了です。

この記事を読んで、ご自身の体験を思い出されて辛くなってしまったり、気分を害された方がいらっしゃるかもしれません。本当にすみません。でも私はひよりがもう生きられないと知った時、最後の瞬間のことが気になって仕方がありませんでした。私は冷静に見送れるんだろうか、正気でいられるんだろうか、と何度も何度も考えて不安になり、ちっとも覚悟が出来なかったのです。なので、私と同じような気持ちの方へ向けて、「こういう最期だったよ」という記録を残しておきたいと思いました。

日記風の記録は今日で終わりですが・・・、

これから先は、ひよりのこと・・・この後の葬儀のこととか、先生への報告時に教えてもらった”歩く”理由のお話とか・・・、もちろん元気だった頃のひよりのお話も、思い出すままにブログに綴っていこうと思っています。

拙いブログ、今後も続いちゃいます。よろしければお付き合いいただければと思います。

いつもありがとうございます!

ひより・ちゃとら

(’19.8.3)