役立たずの私 ・・・’18.9.8のこと。
↓前回です。ひよりとブラッシングタイムを楽しんだり、夫のオナラにビックリする可愛いひよりを見ることが出来たり...穏やかに過ぎる時間は手術からちょうど一週間だけの期間限定でした。
今日も穏やかな一日でありますように・・・
夜中にトイレの音がした。
早朝には爪とぎの音も。
その音を聞きながら「今日も穏やかな時間が過ごせますように・・」と、布団の中で神様にお願いをした。
爪とぎが終わると、ひよりはすぐに寝室へ戻ってきた。
昨日と同じように「ひより」と声をかける。ひよりはしっぽを立ててくれたようだが、昨日ほどピンと立っていないことに少し不安になる。
「ひよちゃん?」もう一度呼んでみると、ひよりは私の方を見て”くちゃくちゃ”のような仕草をした。
口を”くちゃくちゃ”させる仕草。吐き気がある時のサインだ。
急にザワザワと不安が大きくなる・・・。
ひよりはそのままクローゼットへ。一人でゆっくりしたいという意思を感じる。
恐れていた嘔吐
ひよりはずっとクローゼットにいる。
14:00過ぎ、スイカの果汁を絞って、ひよりの様子を見にクローゼットへ。
スイカを口元へ持っていくと、少しだけ飲んでくれた。飲みたい気持ちがあることに安心する。
だが、安心したのも束の間、ひよりが嘔吐した。
ごめんね、私が余計な事したせいだね。ごめん、ごめんね・・・。
私はオロオロするばかり。
その後も口をくちゃくちゃさせている。吐き気は治まらない様子。
吐き止め薬のセレニアを飲ませようとするも、全力で嫌がるので躊躇。
すると2度目の嘔吐。黄色い透明の液体。
ひよりは辛そうな様子で、落ち着く場所を求めるようにヨロヨロ歩き回る。
そして3度目の嘔吐・・・。
どうしよう、嘔吐が止まらない・・・。
何も出来ない役立たず
私はどうしていいか分からず、泣きながらオロオロするばかり。
吐き止め薬を飲ませたいが、抵抗するひよりの体力が心配で、そして更なる嘔吐が心配で何も出来ない・・・。ダメな私。何の役にも立たない。
ひよりはテーブルの下で少しの間 横たわる。落ち着いたのかと思いきや4度目の嘔吐…。黄色い液体を少し。
この嘔吐の後、ひよりは私のことがうっとうしい様子でクローゼットへこもってしまう。私は何も出来ない役立たず。ひよりをそっとしておくことしかできない。他に出来ることが何も思いつかない。
一日中ぐったりと横たわるひより...
大量の嘔吐
3時間ほどゆっくりと眠って、ひよりがクローゼットから出てくる気配。出て来てくれた事が嬉しくて急いで行ってみると、ひよりはすぐに立ち止まり えづき始めた。
力を入れて全身を震わせ、かつて無いくらいの激しいえづきの後、オロオロする私の前で茶色いような緑色のような液体を吐いた。
今までに見たことが無いくらい大量の嘔吐・・・。
ひよりも、自分が吐いた物の量に驚いたのか、しばらく嘔吐物を見て呆然としているかのように立ちすくんでいた。
ひよりの口も鼻も嘔吐物で茶色く汚れている。勢いよく吐いたから、きっと鼻からも嘔吐物が出てしまったんだ。鼻も痛いだろうに...。
鼻や口を拭こうとするも、ひよりはイヤイヤをする。仕方が無いので、汚れたままだけどそっとしておくしかない。私はとことん何もしてあげられない...。
吐き止め薬を飲ませる
もう辛そうなひよりを見ていられなくなり、嫌がられても薬を飲ませることにした。
一人でうまく飲ませられるか不安だったが、意を決して薬の準備をする。
嫌がるひよりの体を膝の間に入れて、右手に薬を持ち、左手でひよりの口を開けて、なるべく喉の奥に薬を落とす。急いでひよりの口を閉じて喉をさする・・・。
「ひより。頑張って飲んで!お願いゴクンして・・・!」
「・・・ゴクン」
ああっ、よかった!飲んでくれた・・・!
これで吐き気が治まればいい。でももし、もし治まらなかったら…?覚悟しなければいけない…?胸が詰まる…。
18:30頃、夫が帰宅。ひよりの様子を伝えると早めに帰ってきてくれた。
ひよりは私たちの寝室の床に転がるように寝ている。窓の下のフローリグが冷たくて気持ちいいのだろう。
吐き気は治まりつつある様子。薬が効いたんだ…。良かった。
もっと早く飲ませてあげればよかった。ごめんね、ひより。私の判断はいつも遅い。
私を避けるひより
22:30頃、寝室からひよりの吐いている気配がする。
行ってみると寝室の窓の下で吐いている。今日6度目の嘔吐だ。吐き止め薬を飲ませてから5時間程度。まだ薬がよく効いている時間のはず。ひよりはもう薬が効かない体なのかと思うとショックでたまらない。
ひよりは私たちから逃げるように移動を始めたが、移動の途中でもう一度吐いてしまう。もう今日は7度目だ。
ひよりはよだれを垂らしながらクローゼットへ。薬の溶けた苦い胃液を吐いたからか、舌をずっとペロペロしている。
心配で見に行く私を避け、逃げるようにひよりはリビングへ。
舌をペロペロさせているひよりの口を拭いてあげようと、温かいおしぼりを作ったが、激しく嫌がって押し入れに入ってしまい、拭くことは出来なかった。
押し入れはひよりが一番落ち着ける場所だ。
ここへ入るという事は、もう放っておいてという合図。
心配でたまらないけど、こんなに私たちを避けているひよりを これ以上追いかけまわすことは出来ない。今夜は押し入れでゆっくり休んで欲しい。
「また明日ね」と挨拶をして、後ろ髪を引かれる思いで寝室へ引き上げた。
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【後記】
この1週間、穏やかな時間を過ごしているうちに、もしかしたらこのまま、穏やかな時間をもうしばらく過ごすことが出来、そして眠るような理想的な最期を迎えられるんじゃないか・・・と思い始めていました。そんな時の急変。7回の嘔吐は想像以上で、何もしてあげられない自分が情けなくて、自分を責めて・・・ひよりから少し離れた場所で泣きながら謝り、見守ることしかできませんでした。
病院の先生からは「吐き止め薬を飲ませても効かなくなる時がくる」と聞いており、その時は覚悟をしましょうと言われていました。ですが、この日は覚悟なんてちっとも出来ていなくて、ただただオロオロするばかり・・・。先生に相談しようにも、「覚悟してください」と言われるのが怖くて電話も出来ず、結局ひよりのそばにいても何の役にも立たないクズ飼い主でした。。。
(’19.2.18)