こころの穴は ねこのかたち。

~愛猫ひよりの病気のはなし。そして・・・ひよりのいない”今”を綴っています。~

神様がくれた1週間<1日目> ・・・’18.9.1のこと。

↓前回です。病院から帰ってもパニック状態のひよりは、麻酔が効いた状態のまま もつれる足で押し入れに飛び込みました。私は心配で、朝までろくに眠れずに過ごします。

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ここにいてくれることに「ありがとう」

早朝ウトウトして目を覚ますと、ベッドの脇で ひよりがきちんとお座りをして、じっと私を見ていた。

ああ、ひよりがいる。ちゃんとここにいる。ひよりを撫でながらこらえきれずに泣きじゃくる。いつの間にか目を覚ましていた夫も泣いていた。

それと同時に『やっぱり夢じゃなかった。ひよりはもう治らないんだ。』という絶望もやって来て落胆する。気持ちの整理がまだちっとも追いついてない。

しばらく夫と一緒に泣きながらひよりを撫でた。ひよりはそれに応えてねりねりと体を預けてくれる。ひよりの体温を感じながら、ひよりが今ここにいてくれること、この瞬間に生きていてくれることに、夫と2人で感謝した。

 

ひよりがリビングに移動するようなので、私も後を付いていった。寝室ではまだ夫が鼻をすする音が聞こえていた。夫はこんなに泣く人だったっけ。泣き顔なんてほとんど見せたことが無い夫が、堪えきれずに泣いている。私と夫にとって、娘同然の大切な存在であるひよりがもうすぐいなくなる、これが現実なんだ、と 、夫が泣く姿を見て思い知らされたような気がして 余計に苦しくなった。

 ひよりはまだ焦点が合っていないようす。しばらく歩いてはぼーっと空中を見て、また歩き出す。痛みは48時間続くと先生は言った。ぼーっとしていてもいい。このまましばらく麻酔が効いて痛みを感じずにいてくれればいい。

 

3つの約束

夫が仕事に出かけるころ、ソファでひよりを膝に乗せてみると くつろいでゴロゴロ言ってくれた。このところのひよりは、体に触っただけで吐き気をもよおしていた。なのに今は膝でゴロゴロ甘えてくれている。こんなに穏やかなひよりは久しぶりで、嬉しくてこの時間を止めてしまいたくなる。

結局 夫が出掛ける時もひよりを膝にのせたまま動きたくなくて、夫には自分でお弁当を包ませ、水筒にお茶も入れさせ、玄関まで見送ることもせず、私とひよりはソファに座ったままで「行ってらっしゃい」をした。

今日はひよりの気が済むまで ひよりを膝に乗せていよう。ずっとひよりと一緒にいよう。ずっとひよりのそばにいよう。

膝にひよりを乗せながら、私とひよりは3つの約束を交わした。

 ①もう絶対キャリーに入れない(病院に行かない)。

 ②もう絶対食べ物を無理やり口に入れない。

 ③でも薬だけは許してね。 

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↑膝に乗ってくれたひより。まだ少し目がうつろ。

 

穏やかに過ぎる時間

今日のひよりは具合が悪くなることも無く、ソファやクローゼットなどに場所を移してはゆっくり眠っていた。

ひよりと2人で一緒にベランダを眺める時間もあって、穏やかに時間が過ぎる。外の景色にひよりが興味を示すなんて。

昨日まではぐったりと横になり、吐きそうに口をくちゃくちゃさせていたのに、昨日の手術を境に何か憑きものが落ちたように穏やかになったのが不思議でたまらない。

 

夕食の支度をする頃、ひより自ら私の膝に乗ってきてくれた。夕食の買い物に行かなければならない時間だったけど、ひよりが膝に来てくれたので動きたくない。今日はもちろん ひより優先。夕食は夫にお弁当を買ってきてもらうことに。

夫が帰宅した時、ひよりは膝でゴロゴロ甘えているところだったので、夫を出迎えることが出来なかった。今日は朝の見送りも、帰りの出迎えも出来なかったが、それでも夫は ひよりが穏やかにくつろいでいることが嬉しそう。夫は牛丼を買ってきてくれた。

ひよりはまだ少し目がうつろ。先生が言ったように、けっこう長めに麻酔が効いているようだ。明日が痛みとの本当の戦いなのかな。ひより、痛い目に合わせてしまってごめんね。ダメ飼い主でごめん。私も一緒に頑張るね。頑張って明日も一緒に乗り切ろう。

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 【後記】

腫瘍が取れない物だと分かった時、先生に提示された選択肢の中に「眠ったままで安楽死」というものがありましたが、私はそれを選ばず「家に連れて帰る」を選びました。 ひよりを家に連れて帰ると決めた時、病院の先生には「苦しむ姿を見ることになるかも知れませんよ」と言われ、「ああ また私のわがままで ひよりを苦しませるのだな...」という思いがよぎりました。ですが、そんな思いとは裏腹に この日のひよりは本当に穏やかに過ごしてくれて、こんな時間を作って下さった神様に感謝しました。

 (’18.12.25)

前々回の記事「長い長い1日③・・・'18.8.31のこと。」に<通院の覚え書き>を追記しました。ご参考までに。