こころの穴は ねこのかたち。

~愛猫ひよりの病気のはなし。そして・・・ひよりのいない”今”を綴っています。~

黄色い水たまり・・・’18.9.14のこと。

 ↓前回です。輸液がなかなうまくいかず先生に助けを求めたりと、私たちは悪戦苦闘しますが、ひよりはくつろぎながら長時間の輸液も頑張ってくれました。

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体重は2.5kg

起床するとひよりはバスタブの中にいた。夜のうちに吐いている形跡は無し。おしっこもちゃんとトイレにしてある。少しトイレからはみ出しているけど、ちゃんとトイレまで行けたんだね。良かった。

夫が出勤前にお風呂に入るので、バスタブの中にいるひよりを抱きかかえ、ついでに体重計に乗ってみた。ひよりの体重は2.5kg。ビックリするほどガリガリという数値ではないみたい。1kg台になってしまっているかとビクビクしていたけど、思ったより体重もあり、まだまだ体に栄養が残っている気がして嬉しくなった。輸液も始めたし、もっともっと一緒にいられるかもしれない・・・ちょっと希望も湧いていてきた。

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 この頃のひよりです。体重は2.5kgとそれほど少ない数値ではありませんでしたが、体は(特に太もも部分)すっかり痩せ細っている印象です。。。

タワーに乗ってみる

朝ごはんの支度をしているとひよりがクローゼットから出てくる。吐くの?!と思って見守るが、そのまま歩いて窓辺へ。網戸越しにベランダを眺める。今朝はこの場所で、夫に行ってらっしゃいをした。

ベランダの近くにはキャットタワーがある。ひよりはもうタワーに上る体力はない。けど本当はタワーの上から外を眺めたいだろうな・・・。そっと抱きかかえてタワーに乗せた。しばらくジッと外を見ていたが、急に悲しそうな 心細そうな表情で私の方を振り返る。なんだか悪い事をしてしまった気がして、そっと抱っこして下におろした。

タワーの横にダンボールを置いてみると、早速入ってくれた。ここなら網戸越しに風も感じられるし、起きて外を眺めることも出来る。ひよりは しばらくそこで寛いでくれた。

 

いい夢見てるかな…

今日はいつになく、ゆっくりしている。どこかに引き込もることもなく、私と一緒にリビングにいてくれる。夢を見ているのか、口元や足をピクピク動かしながら熟睡。熟睡してくれていることがこんなに嬉しい。いい夢を見てくれているならもっと嬉しい。輸液の効果だろうか。少ししか入れてあげられなかったけど、役に立っているなら本当に嬉しい。

  

過去最高量の嘔吐・・・でも

16:00過ぎ、突然ひよりが起きてえづきだす。全身に力を入れて、足を踏ん張っていてもガクガク震えてしまうほど激しくえづいて、大量に嘔吐した。

緑色がかった茶色っぽい液体。これまでで一番大量だった。でも、今日はずっとスヤスヤ寝ていて悪心を感じていた様子は無く、こまめに吐くことも無かった。大量の嘔吐で驚いたけどスッキリ吐けたのかも知れない。輸液と、一緒に入れてもらった吐き止め薬やステロイドのおかげか・・・。 一度に吐く量が大量でも、悪心が続いてこまめに吐くより体は楽かも知れない。そうだといい・・・。

 

黄色い水たまり

夫が仕事帰りに、頼んでおいたペットシーツを買ってきてくれた。ひよりは近頃、隙間に入って くつろいでいる時に おしっこをしてしまうことがある。あらゆる隙間にペットシーツを敷いてみた。ひよりはこんな所にペットシーツが敷いてあることを嫌がるんじゃないかな、傷つくんじゃないかな・・・そんなことを考えていると、ひよりが起きて来てトイレに入っていった。おしっこかな?と思って見ていると、トイレに入りきる前におしっこが出てしまった。

トイレの入り口付近の床に "黄色い水たまり"。ひよりは しばらく黄色い水たまりを見ていた。申し訳なさそうな、傷ついたような顔で見ているひよりの姿がたまらなかった。

「いいんだよ、ひよちゃん。ちゃんとおしっこが出た事の方が大事。いっぱい出て良かったね。」

 夫と2人で明るい声でひよりに話しかける。ひよりがトイレを離れてから、ひよりが見ていない事を確認しておしっこを掃除した。

 

3日目の輸液

22:30頃、輸液の準備を整えて、お風呂場にいるひよりを迎えに行った。

ひよりを抱えてリビングの段ボールの中へ。

ひよりはダンボールの中でうずくまり、くつろいでくれるのかと思ったらいきなりえづいて嘔吐した。今日は2回めの大量嘔吐。夕方と同じ緑色がかった茶色の液体だった。

ダンボールはダメになってしまったから、私のヒザの間にひよりを寝かせて輸液をすることに。

今日も私が針を刺す。20mlくらい入った。ここまでは順調。それから輸液の落ち方が鈍くなる。夫が輸液のバッグに両手で一生懸命圧力をかける。

40mlくらい入ったところで、ひよりが起き上がって動こうとしたので慌てて針を抜く。ひよりのあとをついてを行くと、洗面所で横になったので、夫と2人で洗面所に輸液セットを移動して、そこで輸液を再開することに。ひよりはそのままくつろいで輸液を受けてくれた。そして、40分くらいかけて合計100mlくらいまで入れることが出来た。

目標の150mlには及ばないけれど、これだけ入れば上出来としよう。

ひより、今日も頑張ってくれてありがとうね。

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 【後記】

この頃、おしっこの粗相が急に増えてきました。尿意を感じてトイレに向かっても、トイレまで間に合わなかったり、寝ていたダンボールの中で してしまったり...ひよりも無意識のうちに出てしまっている、という感覚だったのか、出てしまったおしっこを不思議そうに眺めていることも多かったです。不思議そうに眺めるその眼差しがなんとも寂しそうで、私たち夫婦は胸を痛めたのでした。

この日の輸液もなかなか入らなくて悪戦苦闘しました。夫も頑張ってくれました。高い位置にある輸液バッグを力一杯押し続けるのはとても大変だったはず。でも、何も言わず頑張ってくれました。

この日で輸液は3日目。毎回20mlまでは順調で、その後はなかなか入りませんでした。今思えば、この時のひよりに必要な水分が20mlだった、という事なのかもしれません。生き物の体というのはよく出来ていると思います。私たち夫婦はそんなことにも気付く余裕も無く、輸液を150ml入れることばかりを考えていっぱいいっぱいでした。

(令和元年、5月1日 )

目標『輸液150ml』 ・・・’18.9.13のこと。(その2)

 ↓前回の続きです。ひよりはトイレの粗相をはじめ、私は動揺しました。

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 オムツ検討?

あれからずっとクローゼットで寝ているひより。様子を見に行ってみると、ちょうど ひよりが起きてきた。声をかけようとすると エグエグとえづき始めて嘔吐。少なくとも1日に4~5回は吐くようになった。吐く時はいつも全身の力を使っている。それに、きっと ひよりは横になっていても常に乗り物酔いみたいな悪心と闘っているんだ...、そう思うと何の力にもなれない自分が嫌になる・・・。

吐いて少しはスッキリしたのか、窓の外を眺めてくつろぐ様子を見せてくれた。時折よだれが垂れてしまって口を気にするが、”くちゃくちゃ”もなくゆっくり出来ているようす。

ひよりが落ち着いているので、夫にひよりのことを頼んで、私は近くのスーパーにオムツを見に行くことに。ペット用のオムツ売り場を見たことが無いので、どんなものがあるのか見当もつかない。

売り場を見てみると、大きいサイズしかなかった。もう一軒、ドラッグストアへ行ってみる。やっぱりひよりには大きすぎるサイズしかない。それともオムツってこういうもの??そもそも猫用が売ってないし。小型犬用を使うのかな?

何も知らない私。ほんと無知で嫌になる。

もう一度、ひよりの胴回りのサイズを測って出直すことにした。

 

いざ輸液

帰ってみると、ひよりはまだ落ち着いていた。

落ち着いている今のうちに輸液をすることに。輸液2日目。今日は私が針を刺す。うまくいきますように・・・。

 今日は、ひよりにダンボールの中に入ってもらった。ダンボールは大好きなのですぐに落ち着いてくれた。いよいよ輸液を始める。

今日は夫が輸液のバッグを持ち、私が針を刺す。針を刺すのは緊張したけど「夫が出来ないなら 私がやらなければ」という使命感が勝ち、動揺もなくうまく刺すことが出来た。

だがやはり昨日と同じで、20mlくらい入ったところで輸液の落ち方が鈍くなった。始めてからもう30分近くたっている。時間がかかり過ぎて飽きたのか、ひよりがモゾモゾと動き 針が抜けてしまって断念。

目標150mlなのに今日もたったの20mlか......。

輸液には、吐き止め薬やステロイドなどの薬が入っているから、今日こそはきちんと150ml入れてあげたかった。

それに時間がかかり過ぎている。病院で先生にやってもらった時は10分くらいで終えていたのに...。何がいけないんだろう。。。 

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先生への質問と回答

ヘコんでいても仕方が無いので、 輸液の仕方について もう一度先生に電話で聞いてみることにした。

輸液が落ちないという質問に対する回答は以下の3つだった。

①針が細い?

針を太いものに替えてみると良い。(太い針が怖くて、私が細い針を希望したのだった。。。)

②輸液バッグの高さ(圧力)が足りない?

輸液が流れる圧力と、ひよりの体の圧力ではひよりの方が勝っている状態。輸液バッグを高くしてみるといい。または輸液バッグを手で押してギューッと圧力をかけてみるといい。

 ③針の向きが悪い?

針の先端は斜めにカットされているので、その断面に皮膚が乗ってしまっている状態だと、針穴がふさがって輸液が流れていかない。もう一度皮膚を持ち上げて針を45度の角度にしてみて流れるかどうかやってみるといい。

そこで、私がネットで見た『針を回転させてみると輸液が流れることがある』という情報について先生に聞いてみたところ、即却下された。

先生曰く「ネットでは ”針を回転させる”という方法を よく見かけるが、私はすすめない」とのこと。

「針の先端はよく切れるナイフのようなもの。ちょっと皮下組織をかすっただけでもスパッと切れてしまう。針の先がちょっと当たっただけでも出血するし、何よりも猫さんがかなり痛い思いをするはず。グリグリ針を回すのは危険」と。

ちゃんと皮膚を持ち上げて、針の先端が皮下組織に当たらないことを確信してから角度を変えるのが安全、と教えてくれた。

 

ひとまず、①の針の太さは次回検討することにして、②輸液バッグの高さ(圧力)、と③針の向きに注意して、もう一度挑戦してみることにした。

 

『ゴロゴロ...』に救われる

ひよりにはもう一度ダンボールに入ってもらった。

いつもは寝室に置いてある電気スタンド(150cmくらいの高さ)を持って来て、それを更にテーブルの上に乗せて高さを出し、ライトの傘部分に輸液バッグを引っかけた。ひよりはダンボールの中で、くつろぐ様子を見せてくれているので早速始める。

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↑分かりずらいですが...電気スタンドの傘部分に輸液バッグを引っかけてあります

 

針はなんなく刺すことが出来た。最初は調子よく輸液は流れている。やっぱり高さがあると勢いが違う。だが...やはり徐々に遅くなる。

 落ち方が遅くなってからは、夫が輸液バッグを両手で挟んでギューッと押してくれている。高いところの輸液バッグを押す作業は とても疲れる作業だけど、ひよりのために夫も頑張ってくれた。

私は針が抜けてしまわないように、そして良い角度が保てるように集中していた。ひよりはダンボールの中で、うっすらゴロゴロ言ってくつろいでいる。輸液は辛くなさそうで不快な様子も見せず、心地よさそうにしていてくれた。輸液はうまくいかない事ばかりだけど、『ゴロゴロ...』にとても救われる気がした。嬉しくて ひよりのゴロゴロに気を取られていると、ひよりがモゾモゾと寝返りをうち、針が抜けてしまった。痛恨のミス・・・!

結局、今日の輸液はトータル70ml。150mlには程遠いなあ・・・。

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 【後記】

輸液2日目も、目標である150mlが入れられないとなった時には とても焦りました。輸液にはひよりに必要な薬も入っているので、必要な量の薬を摂るためにも150ml入れなくてはいけない、と思い詰めそうになりましたが、なんとか前向きに考えるよう努めました。まずはひよりに苦痛がないこと、そして私が思い詰めてひよりを動揺させないこと・・・、それが大事だと自分に言い聞かせていたのを思い出します。

ひよりがトイレの粗相を始めたあたりから、私の心情がひよりに伝わることをとても気にしていました。というのは、ひよりの粗相を見て私がふと「ああ掃除しなくちゃ」と思った時、ひよりが私の気持ちを読み取って傷ついているような気がしたからです。ひよりが辛い時に、一瞬 掃除をする手間のことを考えた自分を今でも責めます。その時のひよりの傷ついた顔がどうしても忘れられず、それを思い出すと 後悔と自責が満タンの”バケツリレー”が次々とやって来てしまうのです。

(’19.4.16)

ひよりの気持ち ・・・’18.9.13のこと。(その1)

 ↓前回です。自宅での輸液を開始しました。

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初めての粗相

ひよりの”くちゃくちゃ”で目が覚める。

ベッドの足元でよだれをたらして、口を”くちゃくちゃ”させている。吐き気が止まらないのがとても辛そうで胸が痛い。吐き気は本当につらいよね。私が引き受けてあげたいよ。

「ひよちゃん、辛いね…。しんどいね…。」

声を掛けると離れて行ってしまった。私はそっとしておくことしか出来ない。ひよりはキッチンの隅まで行ってうずくまっている。

吐き止め薬のセレニアが効かない以上、もう何もしてあげられないのかな・・・。

玄関に行ってふと見ると、黄色いオレンジジュースのような液体が。

おしっこ・・・? これが尿だと気づくまでに少し時間がかかってしまった。

今までこんな事無かったのに……。この場所でするしかなかったんだね。ひよりの気持ちを思うと、どうにもこうにも涙が止まらなかった。

いいんだよ、ひより。ひよりが楽なようにしていいんだよ。

輸液をして体に水分が入ったから たくさんおしっこが出てしまって、トイレまで間に合わないということ・・・?複雑な気持ちになる。

 

ひよりのトイレを見てみるとうんちが出ている。

マカロニほどの大きさ。溶けたチョコレートのような柔らかさで、色は真っ黒。

これがタール便か・・・と すぐに判る黒さ。血便なんだね。腫瘍部分からの出血だと思うと、現実を見せられている気がしてショックを受ける。

 

嘔吐は続く

しばらくキッチンの隅でうずくまって過ごしたひより。

様子を見に行ってみると、ひよりは起き上がって「おーん」と鳴いた。

吐き気がある時の鳴き方だ。きっと「こっちへ来ないで」って言っている。オロオロしながら見守ると、少し歩いたところでひよりは苦しそうに全身を震わせながら激しくえづきはじめ、勢いよく大量に嘔吐した。

大量の茶色い液体。匂いを確かめてみる。

便臭があったら腸からの逆流が始まっているサインだと、先生が教えてくれた。まだ便臭は無い…と思う。

 大量に吐いたので、鼻も口のまわりも茶色く汚れてしまっている。顔を拭いてあげたいけど、放っておいて欲しいのは分かっている。我慢して見守るしかない。

たくさん吐いたから、少しは気分が良くなるといいな。ひよりはクローゼットで眠る様子。少しはゆっくり眠れますように。。。 

 

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ひよりがいない?!

仕事が休みで家にいた夫。クローゼットにひよりの様子を見に行った夫が、ひよりがいないというのでびっくりして、二人で探しまわった。

今日はずっとクローゼットで眠っていたはず。さっき様子を見に行った時は静かに眠っていたのに、どこへ行ったというんだろう?

探しても探してもどこにもいない。

「あっ!」

お風呂場の方で夫の声がする。

ひより?!ドキッとする・・・

ドキドキしながら行ってみると・・・・・

バスタブの中で横になって「どうしたの?」という表情でひよりがこっちを見ていた。

・・・・・よかった。

ひんやりしたバスタブでゆっくりしていたんだね。お風呂の扉が開いていたの?いい場所を見つけたね。

ひよりはしばらくバスタブでゆっくりしたいようだったので、扉を開けたままそっとしておくことにした。

 

「ひより、辛いよね・・・」

ひよりの様子を見にお風呂場へ。

脱衣所に入ったとたん、床にひよりの足跡を見つけた。お風呂場から出たのかな?と思っていると、なんだかおしっこの臭いがする。

良く見ると洗濯機と壁の狭い隙間に液体が。バスタブを見るとひよりはいない。嘔吐したようで、バスタブの中にも液体が広がっている。

夫はバスタブの嘔吐物を、私は床のおしっこを掃除した。

今日は2度目の粗相。ひよりの気持ちを思うと切なくなる。。。

床を拭きながら ひよりの足あとをたどっていくと、クローゼットに続いていた。

粗相が続くならオムツを検討するべきか。しんどい体にオムツは付けたくないけど・・・。

ひよりの足を拭く。嫌がるものの、抵抗する力はそれほど残っていない・・・。

ひより、辛いね・・・。

あんなにキレイ好きだったひより。今はトイレに行くこともままならないなんて。

口のまわりだって、今までは少しでも汚れれば念入り念入りに、何度も何度も自分でキレイにしていたのに・・・。今はそれも出来ない・・・。

その上、オムツだなんて。。。

ひよりの辛さを思うと鼻がツーンと痛くなって、涙が出て止まらなくなってしまった。

 (つづく)

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【後記】

ひよりの粗相やオムツを検討した時のことは、辛かったであろうひよりの気持ちとともに、今でもよく思い出します。猫さんは皆、体の隅々までしっかり自分でグルーミングをして、トイレの砂も念入りにかけて・・・というくらいキレイ好きなのに、そんなことがどうでも良くなるくらい体が辛いんだと思うと たまりませんでした。

そして粗相をした後、思い詰めたような目でそれを見ているひより・・・。その表情を思い出すと、胸が締め付けられて 今も涙が出ます。

この日は、この後 前日に続き2度目の輸液をします。なかなかうまくいかなくて、またまた病院の先生に あれこれ質問することとなりました。その内容も含めてこの日の続きは次回書きたいと思います。

(「自宅での輸液を決意・・・’18.9.12のこと。」の記事に、『通院の覚え書き』を追記しました。ご参考までに。)

(’19.4.2)

 

 

 

【番外編】どうしても伝えたくなったこと。

こんにちは。ちゃとらです。

今日はいつもの日記ブログをお休みして、番外編をお送りしたいと思います。しばしお付き合いいただけると嬉しいです。

 

少し前に、「脳の中のバケツリレー」という記事を書きました。

chatorajirushi.hatenablog.com

 とーっても後ろ向きな内容でした。

次々と襲ってくる後悔や苦い記憶が次々とぶちまけられるみたいな状態を、私は「誰かがバケツリレーしているみたいだ」と書きました。

「ああ、ここでひよりは倒れたんだ」とか、「ここで強制給餌をしたんだ」とか、「あの時、私のせいでひよりを辛い目に合わせた」とか・・・突然 悪いことばかりを思い出してしまって、次から次へとマイナスな記憶ばかりが ざばーっと押し寄せてくる感じ。もーどうにもこうにも自分では止められないあの感じ・・・。

あの後もやや弱めのバケツリレーがやって来ることがあるんですが、今はあの時ほど重症にはならず、ティッシュペーパー10枚くらいの消費で済んでいます。

・・・というのも、皆さまのお力が とてもとても大きいのです。

あのブログを書いたとき、こんなに腐った精神状態の私を 皆さまはちゃんと受け止めて下さり、一緒に泣いて下さり...、私のために急いでご自身のブログを更新して下さり...本当に嬉しかったです。ありがとうございました。 

 

そして、”手をギュー”してもらって、ふんわり抱きしめてもらって、背中ポンポンしてもらって、大丈夫大丈夫ってしてもらって、「ほら、あっちが未来だよ。ちゃんと笑える日が来るよ。」って教えてもらいました・・・(*ノωノ)泣。

ここはなんて優しく温かい場所なんだろう…、なんて大きな素敵な人たちなんだろう…と心から思いました。

もしかしたら、ひよりが「ここに来たら(ここでブログを始めたら)優しい人たちに出会えるからね。ポンコツでペラッペラのアンタも元気が出るからね。」って導いてくれたのかも知れません。

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「アンタも ここでブログってのを やったらいいよ。」

 

今の私は、”バケツリレー”のコントロール方法を身に付けつつあります。もちろん、今後もひよりを思う時は、後悔や辛い気持ちもやって来ると思うけど、でも、他にもたくさんある大切な事を一緒に思い出すことが出来るようになりました。

幸せな大切な思い出がたくさんあること、そしてそれこそが、後悔を忘れないことよりも 何よりも一番大事なんだということに、皆さまが気づかせて下さいました。

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「”雨降り地区”はもうたくさんだよ。」

 

ここでブログを始めて、辛い涙だけじゃなくて嬉しい涙もたくさんたくさん流れます。

この気持ちをお伝えする言葉が見つからなくて、月並みな言葉になってしまうんですが・・・

皆さま ほんとうにありがとうございます。

今日は、このことをどうしてもお伝えしたくなり、番外編をお送りすることと相成りました。。。

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 「うちのポンコツをこれからもよろしくお願いします。」

 

大好きな皆さまへ。伝えきれなくてもどかしい、たっくさんの感謝をこめて。

あなたの ちゃとらより。

(’19.3.25)

自宅での輸液を決意 ・・・’18.9.12のこと。

 ↓前回です。ひよりは洗濯機の中で就寝しました。
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洗濯機の中でおはよう

起きてみると、ひよりは昨夜と同じように洗濯機の中にいた。

「おはよう、ひよちゃん。」

声を掛けると、洗濯機の中で私を見上げる。落ち着いている様子。ゆうべ静かに眠れたのかな。洗濯機のまわりに水を準備して寝たけれど、夜の間に水を飲んだ様子はない。

自分で出ようとするのをしばらく待ってみたが・・・出てこない。そろそろ水を飲んで欲しかったので、洗濯機から出して抱っこで洗面台に乗せた。

昨日ここで水を飲んでくれたから期待して水を出してみたが、舌を出してペロペロする仕草だけで実際に飲むことは無かった。舌を出すということは、飲みたいのに飲めないということなのか。。。

 

久しぶりの・・・!

ひよりのトイレをチェック。

夜のうちにうんちが出ている!(...ということはいったん洗濯機を出てトイレを済ませてまた洗濯機に入ったんだ。洗濯機、気に入ったんだね。)

久しぶりのうんちにビックリする!小指ほどの大きさで、溶けたチョコレートみたいに柔らかい。うんちが出るということは、腸はまだ塞がっていない??腸が塞がらないうちは、栄養さえ摂れれば体力を付けられるんじゃないかな?少し期待してしまう。。。 

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ベランダで靴の上に乗っかって くつろぐひより。

自宅での輸液を決意

ひよりがリビングで嘔吐。体調は昨日と変わらない。ステロイドを飲んでも劇的に体調が良くなるわけではないし、期待した副作用の「多飲」も見られない。これはもう輸液をするしかないのかな。

昨日、動物病院の主治医の先生がお休みだったので、輸液については聞くことが出来なかった。今日はいらっしゃるとのことなので、早速電話してみた。

先生は、開口一番「輸液でしょ。家で出来るよ。」と、いつものように前置きもなくおっしゃった。昨日の女性の先生から全部話を聞いているらしく、ありがたかった。

自分で輸液をすることに不安でいっぱいだった私は、電話でその不安を解消しておきたかったのだが、そんな私の気持ちをよそに話はどんどん進んだ。

ひよりを連れていくわけにはいかないので、病院で実際の輸液を体験できないことも不安・・・。それでも先生は「大丈夫!」とおっしゃり、すぐにその日のうちに輸液のレクチャーを受けに行くことになった。

 

ひよりに針を刺すなんて・・・!

仕事が休みだった夫と一緒にレクチャーを受けることに。

輸液バッグの扱い方、チューブに液を満たして空気を抜く方法、針を刺す位置、皮膚のつまみ方、針の刺し方・・・等々

たくさん質問をしながらしっかりレクチャーを受けた・・・が、やっぱりひよりに針を刺すなんて・・・、と躊躇する気持ちが・・・。

すると先生は「私もそうです」とおっしゃった。「私は仕事だからブスっと針を刺すけれど、もしそれが自分の愛猫だったら色んな感情が沸いて躊躇なく針を刺すことは出来ません。それが普通です。」と。

そしてアドバイスをくれた。

「針を刺される」という違和感に敏感になる猫さんが多いので、先生は、針を刺す時、首の後ろをちょっとつねりながら刺すとのこと。そうすると、つねられたことに気を取られて、針が刺さったという違和感から猫さんの気をそらすことが出来るのだそう。

「針を刺す」という一番緊張する場面についてのアドバイスに少し安心できた。

 

夫の自信と一抹の不安

輸液バッグには、抗生剤とステロイド、そして吐き止め薬のセレニアも一緒に入れてもらえることになった。これで無理やり錠剤を飲ませることも無くなり、ひよりのストレスが一つ減る。ひよりが輸液を嫌がらずに受けてくれればこんなに良いことはない。

輸液バッグとチューブ、針、アルコール脱脂綿を受け取り帰宅した。

自分で針が刺せるかどうか、チューブからうまく空気を抜くことができるかどうか、そして何よりひよりに苦痛がないかどうか・・・グルグル考えてしまって落ち着かない気持ちで過ごしたが、なぜか夫は自信満々。「不安なら俺がやる。俺は出来る。」と言っている・・・一抹の不安。

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いよいよ輸液

帰宅してみるとひよりはキッチンの奥で寝そべっている。こんな場所で寝た事ないのに。吐き気も見えず落ち着いているようなので、自分たちの夕食を済ませた。

落ち着かない夕食を終えて、いよいよ輸液。

ひよりは見慣れない輸液セットを見て警戒している。抱き上げて、準備しておいたダンボールの中へ。よかった、じっとしている。

私が輸液バッグを持ち、夫が自信満々に針を持つ。まずはひよりの肩甲骨の間をつまんでちょっとつねるくらいの力を入れて皮膚を引き上げ、45度くらいの角度で針を刺す。ひよりは針を刺す時も無反応だった。針の痛みは感じていないようす。ひとまず針はちゃんと皮膚と筋肉の間に入ったようだ。

ダイヤルを回してロックを外し、輸液を流し込む。

うーん、なかなか液が落ちていかない。なんだか想像していたのとは違う。輸液はスローモーションみたいにゆっくりゆっくり落ちていく。

以前病院で先生に輸液をしてもらった時は10分くらいで終わったのに・・・何がいけないんだろう。。。

30分くらいたったかなぁ...20mlくらい入ったところでひよりがモゾモゾ動き出し針が抜けてしまった。ごめんね。今までじっと我慢していたんだね。

小さな小さなラクダのコブがひよりの背中に出来ている。ほんの20mlだけど、ちゃんと輸液は入っている。今日のところはこれで良しとしよう。

「ひよちゃん、お疲れ様。頑張ってくれてありがとうね。」

 こうして、今日から1日150mlの輸液を目指して ひよりと一緒に頑張ることになった。 

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 【後記】

輸液については実際の猫さんで練習してみるわけにもいかないので、話を聞くだけでは不安でたまりませんでした。「コワイ、コワイ」と繰り返していると、先生が「鶏のむね肉で練習してみるといいよ。」と教えてくれて、練習用に針を1本くださいました。鶏肉の皮のある側から針を刺す感覚が、輸液の時の感覚に似ているから、と。私と夫は帰りに早速鶏むね肉を買って、何度も練習を重ねてからひよりの輸液に臨んだのでした。

この日の輸液は、1度目に針が抜けてしまった後 再度チャレンジしましたが、2度目はつまんだ皮膚を突き抜けて針先が外に出てしまったようで、ひよりの背中がびしょびしょになっただけで終了しました。1時間くらい輸液に悪戦苦闘して、結局20mlしか入りませんでしたが、「今のひよりは口からだったら20mlも飲めないよね」と思い、私はヨシとしたのでした。

ですが、夫は違いました。輸液する前の夫の自信満々ぶりに一抹の不安を感じていた私でしたが、その不安は的中しました。自信満々だったのに20mlしか輸液できなかったことに夫はすっかり自信をなくして拗ね倒し、翌日から針を刺すのは私の役目となったのでした。

 

 <通院の覚え書き>

・輸液(リンゲル液)、抗生物質(ERFX)、ステロイド(Pred)、吐き止め薬(セレニア) ¥3,000-

・輸液ライン ¥1,000-

・21G注射針(¥100×4本) ¥400-

(’19.3.20)

 

ひよりの望むように ・・・’18.9.11のこと。

 ↓前回です。ひよりのガンは腸腺がんであることが分かり、ステロイド剤で症状を和らげることになりました。

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 「点滴をすればもう少し長く・・・」

今朝はひよりが口を”くちゃらくちゃら”させる音で目覚めた。以前までの”くちゃくちゃ”とは違い、舌を出して”くちゃらくちゃら”させるようになった。

よだれが口から垂れ下がっている。口元をティッシュで拭くと嘔吐してしまった。やはり触ると嘔吐を誘発させてしまうようだ。

ひよりは玄関の靴箱の下が気に入ったようで、冷たい床に横たわっている。最近ひんやりした所にいることが多くなった。このまま体温が下がってしまうのではと不安になる。

昨日、先生から言われた「点滴をすればもう少し長く生きられるかも・・・」という言葉がずっと気になっている・・・。長く生きられても、辛い時間が長くなるだけなのは嫌だ。少しでも長く一緒にいたいと思うのは きっと私のわがままだし、長く生きてほしいと思うのは自己満足でしかないんだろう。

ひよりが一番望んでいることはなんだろう?ひよりはどうしたい?

そればかりを考えるが、答えは出ない。

狂ったようにネットで色々調べる。最期の時までどうやって過ごすのが、ひよりにとって一番いいのか。

ネットによると、腎不全の猫さんは自宅で皮下輸液を行っているらしい。ひよりも自宅で輸液をしてあげれば楽に過ごせるんだろうか。それとも、ひよりにとっては辛い時間を長引かせるだけなのかな。

調べても調べてもやっぱり答えは出ない・・。

 

困った時の先生頼み

悩んでいても答えは出ないので、先生に電話で相談してみることに。(結局すぐに先生に相談してしまう。先生だってひよりが望んでいる事なんて分からないだろうに。先生いつもごめんなさい。)

電話に出たのは看護師さん。今日は主治医の院長先生はお休みだそうで、代理の女性の先生が電話を代わって下さった。

皮下輸液のことなどを聞いてみたが、『主治医ではないので』という理由で明確な回答はもらえなかった。

 そりゃそうだよね・・・。

今日のところは、大変でもステロイドを飲ませることに専念してほしい、とのこと。

ステロイドは嫌な味はしないはずなので(女性の先生はそう言ったが私が舐めてみたところけっこう苦かった!)、すりつぶして砂糖水に混ぜてシリンジで飲ませると良いと教えてくれた。そうか、砂糖水か。昨日の投薬の失敗を引きずっていた私は少し勇気をもらった。

 

 「にー」

昼過ぎころ、ひよりが起きてリビングに出てきた。キッチンに立っていた私のところへ来て小さく小さく「にー」と鳴いた。うっかりしたら聞き逃してしまう程小さな声だったけど、私を見あげて鳴いてくれるなんて・・・かわいくて嬉しくて涙ぐんでしまう。

「ひよちゃん、なあに?」何か伝えたいのかな。嬉しい気持ちが抑えられずにそっと抱っこ。すると すぐにえづき始め少しだけ嘔吐してしまった。また余計なことをしたね。こういうところだよ、ダメな私。もう自分が嫌になる...ごめんね、ひより。 

ひよりは少し落ちついた様子でベランダを眺め始める。何か興味深いものを見つけたようで、外の景色を熱心に眺めている。

今のうちにステロイドを飲ませようと思い、不意打ちで口を開けてホイッとステロイドを放り込んでみた。すぐにスポイトで水を少量流し込む。ひよりは不意を付かれたようでゴクンと飲んでくれた。

 

初めての体験

これで嘔吐がなければいい。見守りながらひよりと一緒にベランダを眺めて風にあたる。ひよりはベランダに出たがっている様子。網戸のふちに手を掛けて開けるような仕草をする。今まではベランダ禁止にしていたけど、ひよりのしたいようにさせてあげたい。ひよりの望むように過ごしてもらうこと。それが私にとっても一番の望み。

「いいよ、ひより。ベランダに出てみよう。」

私はベランダへ続く窓をゆっくりと開けた。ひよりはしばらく遠い目をして風にあたりながら外を眺めていたが、意を決したようにそろそろとベランダに出て行った。ひよりが危なくないように目を離さずに付きそう。

そして、ベランダの水連鉢にいるメダカを覗きこむ。初めての体験。

泳ぐメダカを興味深そうに見ている。

しばらく眺めた後、そろそろと手を出して水面に浮かぶ水草をちょいちょいする。メダカ達は初めて覗く猫にびっくりした様子でさっさと下の方に避難済みだ。ひよりの遠慮がちな”ちょいちょい”がかわいい。 

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ベランダを眺めて風にあたるひより。痩せちゃったね...。

意外なところで就寝

ステロイドが効いているのか(ステロイドの副作用に「多飲」があるそう。)ひよりは少しだけ水を飲むようになった気がする。

洗面台に乗るので、蛇口をひねって水を出してあげると、洗面台にたまった水を飲んだ。このまま順調に水分を摂ってくれれば輸液も必要ないかも知れない。淡い期待。

洗面所のひんやりした床で横になるようなので、そっとしておこうとそばを離れると、間もなくゴトンガシャンと大きな音。

びっくりして洗面所に行ってみると、ひよりは洗濯機の中にいた。洗濯機に乗れるなんて…とビックリしたのと、洗濯機の中で私を見上げるひよりがかわいいくて、夫と2人で笑ってしまう。ステロイドが効いて体が楽になったのか、水分を摂れて元気が出たのか・・・。

危なくないように、洗濯機のコンセントが抜いてあることを確認し、蓋が閉じてしまわないよう固定して、今夜は洗濯機の中のひよりに「おやすみなさい」を言った。

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【後記】

ひよりには この時すでに背中の皮膚をつまむと なかなか元に戻らないなど、もう脱水症状の兆しがありました。

この日、私は女性の先生にもうひとつ質問をしています。『個人的な意見でかまわないので』と前置きをしたうえでの質問でした。

「ひよりが最期を迎えるにあたって、輸液をしないで脱水症状で亡くなるのと、輸液をしつつ がんの進行や衰弱などによって亡くなるのとどちらが苦しくないと思いますか?」

この問いに女性の先生は悩んだ様子でしたが、「脱水症状は、めまいや吐き気もあるだろうし、痙攣も起こる可能性がある。それは辛いんじゃないかな・・・。」と答えてくれました。

それを聞いて、私はなんとなく心が決まった気がしたのでした。

 (’19.3.11)

「腸腺がんでした」 ・・・’18.9.10のこと。

 ↓前回です。ひよりは私たちを避けて、狭い隙間に身をひそめるようになりました

chatorajirushi.hatenablog.com

 

またもや行方不明

早朝4:00過ぎ、姿見の後ろにうずくまっていたひよりが、再び移動を始める気配が。

リビングに行ったのかな。しばらくして行ってみるがリビングに姿は見えない。押し入れかな?開けてみるがここにも姿はない・・・。

移動の気配は私の気のせい?再び寝室へ戻り、鏡の後ろやクローゼットの中を見る。

・・・いない。途方にくれる。

昨日うずくまっていた場所、狭い隙間をくまなく探す。やっぱりいない。

洗面所は扉が閉まっていたから入れないはず。念のため見る・・・やっぱり、いない。

もしかして玄関??行ってみる。

・・・いた!!

作り付けの靴箱の下、狭い隙間に寝そべっている。

「ひより、ここにいたの・・・心配したよ」

声をかけると目を細めてくれた。良かった、落ち着いている。

撫でてみると、いっそう目を細めてじっとしている。良かった・・・。

落ち着いているひよりを見て安心し、起床時間まで私はベッドで眠ることにした。

とはいえ、何か物音がする度にひよりの事が気になって様子を見に行ってしまう。ひよりは変わらず玄関にいて、私は安心してベッドへ戻る・・・。起床まで何度か繰り返してしまった。

朝6:00頃ウトウトして目を覚ます。ベッドの中で耳を澄ますと、ひよりが吐いているような気配が。急いで布団を出て玄関へ行く。

ひよりは靴箱の下を出て、冷たい玄関の床でうずくまっている。神妙な表情。

まもなくえづき始めてしまい、少量の嘔吐。透明の液体。しばらく神妙な顔でうずくまっていたが、落ち着いたのか移動を始めた。

どうやら押し入れに入るようす。ゆっくり休めるといい。

 

「やはり腸腺がんでした」

10:00頃、動物病院の先生から電話。

「病理検査の結果ですが、やはり腸腺がんでした」

いつものように前置きも無く先生が言う。検査結果が出るまでに結局10日かかった。先生は続ける。

「残念ですが、有効な抗がん剤はありません。」

私はもうがんの種類なんてどうでも良くなっていた。ひよりが穏やかに過ごせること、それだけを考えていた。抗がん剤なんて、もし有効なものがあったとしても今のひよりに病気と闘わせることなんて出来ない。

もう何の治療も望まないことを先生に告げて、以前まとめておいた質問事項を伝えた。

 

◆ひよりが辛そうな時、病院に連れて行かずに私が出来ることは何があるか。

ステロイド剤を飲ませる方法がある。嘔吐には効かないが、炎症を起こしているであろうがん細胞には効果があるので、その炎症の辛さは軽減できると思う。

ステロイド剤の副作用で食欲が出ることがあり、ひよりちゃんの場合、食べればまた嘔吐があるかも知れない。吐き止めのセレニアも効きにくくなっているから嘔吐に関しては何とも言えないが、がんの痛みにはよく効くので体はだいぶ楽になるはず。

 

これからどういう症状が出るか。

①腫瘍が破裂するようなら下血が考えられる。(現在ひよりが茶色い液体を吐く事があることを話すと)腸に出来たがんだと吐血は考えにくい。もし吐血があるなら別の原因。度重なる嘔吐で食道に炎症が起きていて出血している可能性もあるし、またはがんのストレスは相当なものだから胃潰瘍になっている可能性もある。

もし、嘔吐した茶色い液体が血液ではなく便だとしたら、腸が完全に塞がってしまっているということ。嘔吐物の匂いを確かめてみるといい。

②何も食べられず水も飲めず嘔吐が続くようなら、栄養失調や脱水症状が考えられる。がんが成長しなくても体力が落ちてくることにより徐々に歩けなくなったり等衰弱してくることが考えられる。

 

◆余命はどれくらいと考えればいいか。

上記の①が起これば今すぐにでも可能性がある。がんの状態を見ることが出来ないのでなんとも言えないが・・・。

上記の②ならば、今後の食欲や嘔吐の状態によっても変わってくるが1週間前後と覚悟してほしい。 もし、点滴に通うことが出来ればもっと長い可能性もあるが、こればかりは本人(ひより)の体力によって大きく変わるので何とも言えない。

 先生の回答は以上。まずは、ステロイド剤をすぐに受け取りに行くことを伝えて電話を切った。

点滴をどうするか...悩みどころ。でももう病院に連れていく気はない。

ひとまずステロイド剤をもらって飲ませてみて、その後のことはそれから考えよう。

 

病院にステロイド剤をもらいに行き急いで家に帰ってみると、ひよりはまだ押し入れにいた。

落ち着いているようなので、嘔吐で汚れた鼻のところだけおしぼりで拭いてみた。口元を拭こうとすると、薬を飲ませる時みたいに舌をペロペロさせて嫌がるのでやめておく。

今は落ち着いているようなので、ステロイドは夫が帰宅してから飲ませるかどうか考えよう。

 

金魚鉢がお気に入り

洗濯物を干していると、ひよりが押し入れから出てきてベランダを眺めている。

ベランダを眺めるなんて何日ぶりだろう。ビックリしてしまう。体調がいいのかな。窓を開けてあげると気持ち良さそうに外の風にあたっている。

メダカ用に水を溜めておいた丸い金魚鉢に興味があるようなので、近づけてみると金魚鉢の中に頭を入れて水を飲んだ。

久しぶりに自分で水を飲んでいる。嬉しくて新鮮な水を別の器に用意したが、ひよりは金魚鉢がお気に入りのようで、しばらく頭を入れて水を飲んでいた。

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 写真は子猫の頃のひより。この金魚鉢に頭を突っ込んで久しぶりに水を飲みました。

 

ステロイド剤を試みる

夫が帰宅して、いよいよステロイドを飲ませることに。薬とスポイトに入れた水、温かいおしぼりを準備する。

夫にひよりの体をおさえてもらい、私がひよりの口を開けて薬を放り込もうとするも、ひよりは必死の抵抗。

どんどん薬の拒否が上手になる。ひよりは手を使って薬を払い落そうとし、ブンブンと首を振り、私の指を噛み、全力で抵抗する。

2度挑戦するも、2度とも失敗。くたくたになる。ひよりもくたくた。こんなに抵抗する力があることを喜べばいいのか・・・。でもそれ以上に、抵抗することに体力を使い過ぎてしまっている気がして、私も夫も落ち込みが止まらない。

今日はステロイドは諦めることにした。

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【後記】

ステロイドを飲ませるのを失敗した後、私と夫は大喧嘩をしました。二人とも、ひよりに余計な体力を使わせてしまったことが申し訳なくて、結局 薬を飲ませることが出来なかったことが残念で 各々で自分を責め、ぶつけどころのない気持ちをお互いにぶつけてしまったのでした。

夫は「ひよりにこんなに嫌な思いをさせて、もしこのままひよりにもしもの事があったら、俺はひよりにとって嫌な人間で終わるじゃないか。」と言い、私は「そんな事、私は毎日毎日考えている。それでも、今ひよりが楽でいられればと思ってお世話をしているんだ。たまにしかお世話しないのに自分だけ辛い目に合ってるみたいな顔をしないで。」と言い返しました。

ひよりは私たちのケンカが大嫌いなのを分かっていたのでヒソヒソ声でケンカしましたが、ひよりにはきっとバレバレだったと思います。今でも大きな反省事項です。

(’19.3.4)

 

<通院の覚え書き>(飼い主のみ病院へ)

9/10 プレドニン5mg(ステロイド剤) 4錠(4日分) ¥430-

   (ひより体重 2.7kg)