「腸腺がんでした」 ・・・’18.9.10のこと。
↓前回です。ひよりは私たちを避けて、狭い隙間に身をひそめるようになりました。
またもや行方不明
早朝4:00過ぎ、姿見の後ろにうずくまっていたひよりが、再び移動を始める気配が。
リビングに行ったのかな。しばらくして行ってみるがリビングに姿は見えない。押し入れかな?開けてみるがここにも姿はない・・・。
移動の気配は私の気のせい?再び寝室へ戻り、鏡の後ろやクローゼットの中を見る。
・・・いない。途方にくれる。
昨日うずくまっていた場所、狭い隙間をくまなく探す。やっぱりいない。
洗面所は扉が閉まっていたから入れないはず。念のため見る・・・やっぱり、いない。
もしかして玄関??行ってみる。
・・・いた!!
作り付けの靴箱の下、狭い隙間に寝そべっている。
「ひより、ここにいたの・・・心配したよ」
声をかけると目を細めてくれた。良かった、落ち着いている。
撫でてみると、いっそう目を細めてじっとしている。良かった・・・。
落ち着いているひよりを見て安心し、起床時間まで私はベッドで眠ることにした。
とはいえ、何か物音がする度にひよりの事が気になって様子を見に行ってしまう。ひよりは変わらず玄関にいて、私は安心してベッドへ戻る・・・。起床まで何度か繰り返してしまった。
朝6:00頃ウトウトして目を覚ます。ベッドの中で耳を澄ますと、ひよりが吐いているような気配が。急いで布団を出て玄関へ行く。
ひよりは靴箱の下を出て、冷たい玄関の床でうずくまっている。神妙な表情。
まもなくえづき始めてしまい、少量の嘔吐。透明の液体。しばらく神妙な顔でうずくまっていたが、落ち着いたのか移動を始めた。
どうやら押し入れに入るようす。ゆっくり休めるといい。
「やはり腸腺がんでした」
10:00頃、動物病院の先生から電話。
「病理検査の結果ですが、やはり腸腺がんでした」
いつものように前置きも無く先生が言う。検査結果が出るまでに結局10日かかった。先生は続ける。
「残念ですが、有効な抗がん剤はありません。」
私はもうがんの種類なんてどうでも良くなっていた。ひよりが穏やかに過ごせること、それだけを考えていた。抗がん剤なんて、もし有効なものがあったとしても今のひよりに病気と闘わせることなんて出来ない。
もう何の治療も望まないことを先生に告げて、以前まとめておいた質問事項を伝えた。
◆ひよりが辛そうな時、病院に連れて行かずに私が出来ることは何があるか。
ステロイド剤を飲ませる方法がある。嘔吐には効かないが、炎症を起こしているであろうがん細胞には効果があるので、その炎症の辛さは軽減できると思う。
ステロイド剤の副作用で食欲が出ることがあり、ひよりちゃんの場合、食べればまた嘔吐があるかも知れない。吐き止めのセレニアも効きにくくなっているから嘔吐に関しては何とも言えないが、がんの痛みにはよく効くので体はだいぶ楽になるはず。
◆これからどういう症状が出るか。
①腫瘍が破裂するようなら下血が考えられる。(現在ひよりが茶色い液体を吐く事があることを話すと)腸に出来たがんだと吐血は考えにくい。もし吐血があるなら別の原因。度重なる嘔吐で食道に炎症が起きていて出血している可能性もあるし、またはがんのストレスは相当なものだから胃潰瘍になっている可能性もある。
もし、嘔吐した茶色い液体が血液ではなく便だとしたら、腸が完全に塞がってしまっているということ。嘔吐物の匂いを確かめてみるといい。
②何も食べられず水も飲めず嘔吐が続くようなら、栄養失調や脱水症状が考えられる。がんが成長しなくても体力が落ちてくることにより徐々に歩けなくなったり等衰弱してくることが考えられる。
◆余命はどれくらいと考えればいいか。
上記の①が起これば今すぐにでも可能性がある。がんの状態を見ることが出来ないのでなんとも言えないが・・・。
上記の②ならば、今後の食欲や嘔吐の状態によっても変わってくるが1週間前後と覚悟してほしい。 もし、点滴に通うことが出来ればもっと長い可能性もあるが、こればかりは本人(ひより)の体力によって大きく変わるので何とも言えない。
先生の回答は以上。まずは、ステロイド剤をすぐに受け取りに行くことを伝えて電話を切った。
点滴をどうするか...悩みどころ。でももう病院に連れていく気はない。
ひとまずステロイド剤をもらって飲ませてみて、その後のことはそれから考えよう。
病院にステロイド剤をもらいに行き急いで家に帰ってみると、ひよりはまだ押し入れにいた。
落ち着いているようなので、嘔吐で汚れた鼻のところだけおしぼりで拭いてみた。口元を拭こうとすると、薬を飲ませる時みたいに舌をペロペロさせて嫌がるのでやめておく。
今は落ち着いているようなので、ステロイドは夫が帰宅してから飲ませるかどうか考えよう。
金魚鉢がお気に入り
洗濯物を干していると、ひよりが押し入れから出てきてベランダを眺めている。
ベランダを眺めるなんて何日ぶりだろう。ビックリしてしまう。体調がいいのかな。窓を開けてあげると気持ち良さそうに外の風にあたっている。
メダカ用に水を溜めておいた丸い金魚鉢に興味があるようなので、近づけてみると金魚鉢の中に頭を入れて水を飲んだ。
久しぶりに自分で水を飲んでいる。嬉しくて新鮮な水を別の器に用意したが、ひよりは金魚鉢がお気に入りのようで、しばらく頭を入れて水を飲んでいた。
写真は子猫の頃のひより。この金魚鉢に頭を突っ込んで久しぶりに水を飲みました。
ステロイド剤を試みる
夫が帰宅して、いよいよステロイドを飲ませることに。薬とスポイトに入れた水、温かいおしぼりを準備する。
夫にひよりの体をおさえてもらい、私がひよりの口を開けて薬を放り込もうとするも、ひよりは必死の抵抗。
どんどん薬の拒否が上手になる。ひよりは手を使って薬を払い落そうとし、ブンブンと首を振り、私の指を噛み、全力で抵抗する。
2度挑戦するも、2度とも失敗。くたくたになる。ひよりもくたくた。こんなに抵抗する力があることを喜べばいいのか・・・。でもそれ以上に、抵抗することに体力を使い過ぎてしまっている気がして、私も夫も落ち込みが止まらない。
今日はステロイドは諦めることにした。
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【後記】
ステロイドを飲ませるのを失敗した後、私と夫は大喧嘩をしました。二人とも、ひよりに余計な体力を使わせてしまったことが申し訳なくて、結局 薬を飲ませることが出来なかったことが残念で 各々で自分を責め、ぶつけどころのない気持ちをお互いにぶつけてしまったのでした。
夫は「ひよりにこんなに嫌な思いをさせて、もしこのままひよりにもしもの事があったら、俺はひよりにとって嫌な人間で終わるじゃないか。」と言い、私は「そんな事、私は毎日毎日考えている。それでも、今ひよりが楽でいられればと思ってお世話をしているんだ。たまにしかお世話しないのに自分だけ辛い目に合ってるみたいな顔をしないで。」と言い返しました。
ひよりは私たちのケンカが大嫌いなのを分かっていたのでヒソヒソ声でケンカしましたが、ひよりにはきっとバレバレだったと思います。今でも大きな反省事項です。
(’19.3.4)
<通院の覚え書き>(飼い主のみ病院へ)
9/10 プレドニン5mg(ステロイド剤) 4錠(4日分) ¥430-
(ひより体重 2.7kg)
そばにいさせて ・・・’18.9.9のこと。
↓前回です。ひよりの体調は一気に悪くなりました。何も出来ない役立たずの私はオロオロするばかりでした。
押し入れの中で夜を明かす
朝6:00頃目が覚める。
ゆうべ押し入れにこもってしまったひよりが心配で、ろくに眠れずに過ごした。明け方にウトウトしたけれど、それまでにひよりが押し入れから出てきた気配はない。
起きてリビングに行ってみると、ひよりの姿はない。まだ押し入れの中にいるのかな?
押し入れの戸は常に開けっぱなしだが、反対側の戸を開けないとひよりの姿は見えない。
開けてみるのが なんだか怖い。
その前に、ひよりのいそうなところ...クローゼットやテーブルの下などを見てみる。
やっぱりいない。まだ押し入れの中にいるんだ。
夫もいつの間にか起きていて、「ひよちゃんは?」と聞く。
私が何も答えないでいると、夫が押し入れを開けた。すると・・・
うつろな目をしたひよりがこちらを見ていた。
心底ほっとする。
ひよりがそこにいて呼吸をしてくれている。良かった・・・。体から力が抜けるのが分かる・・・。
夜中のうちに吐いた形跡はない。ゆっくり眠れただろうか。
でも、ずっと押し入れにいたんだね。こんな狭くて暑いところに。
暑いだろうと思い、ひよりのいる場所の戸を少し開けておくと、しばらくしてひよりが出てきた。
トイレに向かう様子。
トイレに入ってしばらくしても出て来ないので見に行くと、中でうずくまっていた。
トイレの中で吐いてしまったようだ。触れて欲しくないようだったので そっとしておく。
その後、ゆっくりとそろそろ出てきてクローゼットへ向かった。
ゆっくり休みたいのだろう。付いて行ってみたが声を掛けたりはせず、ひよりが定位置で横になるのを見届けてリビングへ戻った。
ひよりは夕方までのほとんどをクローゼットで過ごした。
吐き気は今日も止まらない
夕方 様子を見に行くと、クローゼットを出て寝室の床にうずくまっていた。
吐き気があるのだろう。床のところどころにヨダレのような跡がある。
昨日、吐き止めと一緒に胃酸止めも飲ませなかったことを後悔。
今日は吐き止め薬(セレニア)と一緒に胃酸止め薬(ファモチジン)も飲ませることに。
吐き気があるらしいひよりに薬を飲ませるのは躊躇する気持ちもあったけど、このまま具合が悪い状態を見ているだけよりは、薬で体調が良くなる可能性にかけようと思った。
薬と水の準備をして、嫌がるひよりを膝の間に入れ、口を開けさせて薬を放り込む。
ひよりの喉をさすりながら「飲んでくれますように...。吐きませんように...。」と祈る。
ひよりはゴクンしたのかどうかも分からない。そのまま、しばらく神妙な顔をしてじっとうずくまっていたが、間もなく体を震わせて嘔吐。茶色がかった大量の液体を勢いよく吐いてしまった。
また自分の判断が間違っていた気がして泣けてしまう。
オロオロしながら、茶色く汚れたひよりの口元を拭こうとするも、ひよりはペロペロと舌を出しながら全身で拒否。また薬を無理やり口に入れられると思ったようだ。
全力で拒否するひよりの体力が心配で口を拭くことは諦めた。
ひよりにとっては、口元が汚れてしまった事より 私に何かされる事の方が嫌なんだ。
大量の嘔吐でスッキリしたのか、ひよりはリビングに移動し、ソファテーブルの下で横になった。
隙間に入りたい...?
21:00頃、ひよりが起き上がって移動するので見ていると、ソファと壁の隙間に入っていった。そんなところ、入った事もないのに・・・。
猫は最期の時が近づくと、狭いところに隠れたがると聞いたことがある。
ひより、そうなの?もうそんな時が来ているの?
私は少し離れたところで、泣きながら見守ることしかできない。
またひよりが移動する。
今度は窓際の近く、よりひんやりした場所。やっぱり狭いところに入って行く。
心配で心配で・・・でも何も出来なくて・・・。本当に私は何も出来ない役立たずだ。
しっぽの動きが心の支え
今夜は、こんなひよりを一人でリビングに残して眠ることはどうしても出来ない。
私の事が邪魔かもしれないけど、見守ることだけ許してほしい。ひよりの嫌がる距離には近づかないから、どうか今夜はそばにいさせて。
ひよりはカーテンの中に入って窓にくっついて寝ている。
私はソファで横になった。でも眠れるはずもなく、暗がりの中でカーテンの下から出ているひよりのしっぽをずっと眺めていた。
時折、「ひより」と声をかけると、しっぽを動かしてくれる。今はそのしっぽの動きだけが、それだけが私の心の支え。
夜中1:30頃、ひよりがカーテンの中から出て移動。少し歩くと立ち止まり、キッチン付近で吐いてしまう。その後クローゼットまでゆっくりと移動してまた嘔吐。2度とも茶色い液体だった。
クローゼットを掃除した後、ひよりを残してキッチンの掃除をしに行った。
ひよりがいない?!
掃除が終わり、ひよりの様子を見に戻ってみると、クローゼットにいたはずのいよりがいない。
気づかないうちにリビングに戻っているのかと 見に行ってみるが、やっぱり姿は見えない。
寝室の床やベッドの上を見てみてもどこにもいない・・・。
「ひよちゃん、どこ?!」
不安になり、夫を起こそうと寝室の明かりをつけた時、細長い鏡(姿見)の後ろから 茶色いしっぽの先が出ているのを見つけた。
・・・・・ほっとする。
「心配したよ、ひよちゃん」と声をかけると、しっぽの先を一度だけ ぱたりと動かしてくれた。
下から覗くかわいいしっぽ
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【後記】
この日は、ひよりが ”どうしても狭いところに入りたがる” という、今までにない行動を始めた日でした。 普段は見向きもしなかった狭い隙間に入って じっとしているひより・・・。それを見付けた時の衝撃は忘れられません。もう ひよりが 私たちから離れていこうとしている・・・そう思わずにはいられませんでした。「そばにいたい」という私の願いも、ひよりにとっては迷惑でしかない、そう思い知らされた日でもありました。
この後もひよりは色んなところに身を潜めて、私たちを動揺させます。
(’19.2.23)
役立たずの私 ・・・’18.9.8のこと。
↓前回です。ひよりとブラッシングタイムを楽しんだり、夫のオナラにビックリする可愛いひよりを見ることが出来たり...穏やかに過ぎる時間は手術からちょうど一週間だけの期間限定でした。
今日も穏やかな一日でありますように・・・
夜中にトイレの音がした。
早朝には爪とぎの音も。
その音を聞きながら「今日も穏やかな時間が過ごせますように・・」と、布団の中で神様にお願いをした。
爪とぎが終わると、ひよりはすぐに寝室へ戻ってきた。
昨日と同じように「ひより」と声をかける。ひよりはしっぽを立ててくれたようだが、昨日ほどピンと立っていないことに少し不安になる。
「ひよちゃん?」もう一度呼んでみると、ひよりは私の方を見て”くちゃくちゃ”のような仕草をした。
口を”くちゃくちゃ”させる仕草。吐き気がある時のサインだ。
急にザワザワと不安が大きくなる・・・。
ひよりはそのままクローゼットへ。一人でゆっくりしたいという意思を感じる。
恐れていた嘔吐
ひよりはずっとクローゼットにいる。
14:00過ぎ、スイカの果汁を絞って、ひよりの様子を見にクローゼットへ。
スイカを口元へ持っていくと、少しだけ飲んでくれた。飲みたい気持ちがあることに安心する。
だが、安心したのも束の間、ひよりが嘔吐した。
ごめんね、私が余計な事したせいだね。ごめん、ごめんね・・・。
私はオロオロするばかり。
その後も口をくちゃくちゃさせている。吐き気は治まらない様子。
吐き止め薬のセレニアを飲ませようとするも、全力で嫌がるので躊躇。
すると2度目の嘔吐。黄色い透明の液体。
ひよりは辛そうな様子で、落ち着く場所を求めるようにヨロヨロ歩き回る。
そして3度目の嘔吐・・・。
どうしよう、嘔吐が止まらない・・・。
何も出来ない役立たず
私はどうしていいか分からず、泣きながらオロオロするばかり。
吐き止め薬を飲ませたいが、抵抗するひよりの体力が心配で、そして更なる嘔吐が心配で何も出来ない・・・。ダメな私。何の役にも立たない。
ひよりはテーブルの下で少しの間 横たわる。落ち着いたのかと思いきや4度目の嘔吐…。黄色い液体を少し。
この嘔吐の後、ひよりは私のことがうっとうしい様子でクローゼットへこもってしまう。私は何も出来ない役立たず。ひよりをそっとしておくことしかできない。他に出来ることが何も思いつかない。
一日中ぐったりと横たわるひより...
大量の嘔吐
3時間ほどゆっくりと眠って、ひよりがクローゼットから出てくる気配。出て来てくれた事が嬉しくて急いで行ってみると、ひよりはすぐに立ち止まり えづき始めた。
力を入れて全身を震わせ、かつて無いくらいの激しいえづきの後、オロオロする私の前で茶色いような緑色のような液体を吐いた。
今までに見たことが無いくらい大量の嘔吐・・・。
ひよりも、自分が吐いた物の量に驚いたのか、しばらく嘔吐物を見て呆然としているかのように立ちすくんでいた。
ひよりの口も鼻も嘔吐物で茶色く汚れている。勢いよく吐いたから、きっと鼻からも嘔吐物が出てしまったんだ。鼻も痛いだろうに...。
鼻や口を拭こうとするも、ひよりはイヤイヤをする。仕方が無いので、汚れたままだけどそっとしておくしかない。私はとことん何もしてあげられない...。
吐き止め薬を飲ませる
もう辛そうなひよりを見ていられなくなり、嫌がられても薬を飲ませることにした。
一人でうまく飲ませられるか不安だったが、意を決して薬の準備をする。
嫌がるひよりの体を膝の間に入れて、右手に薬を持ち、左手でひよりの口を開けて、なるべく喉の奥に薬を落とす。急いでひよりの口を閉じて喉をさする・・・。
「ひより。頑張って飲んで!お願いゴクンして・・・!」
「・・・ゴクン」
ああっ、よかった!飲んでくれた・・・!
これで吐き気が治まればいい。でももし、もし治まらなかったら…?覚悟しなければいけない…?胸が詰まる…。
18:30頃、夫が帰宅。ひよりの様子を伝えると早めに帰ってきてくれた。
ひよりは私たちの寝室の床に転がるように寝ている。窓の下のフローリグが冷たくて気持ちいいのだろう。
吐き気は治まりつつある様子。薬が効いたんだ…。良かった。
もっと早く飲ませてあげればよかった。ごめんね、ひより。私の判断はいつも遅い。
私を避けるひより
22:30頃、寝室からひよりの吐いている気配がする。
行ってみると寝室の窓の下で吐いている。今日6度目の嘔吐だ。吐き止め薬を飲ませてから5時間程度。まだ薬がよく効いている時間のはず。ひよりはもう薬が効かない体なのかと思うとショックでたまらない。
ひよりは私たちから逃げるように移動を始めたが、移動の途中でもう一度吐いてしまう。もう今日は7度目だ。
ひよりはよだれを垂らしながらクローゼットへ。薬の溶けた苦い胃液を吐いたからか、舌をずっとペロペロしている。
心配で見に行く私を避け、逃げるようにひよりはリビングへ。
舌をペロペロさせているひよりの口を拭いてあげようと、温かいおしぼりを作ったが、激しく嫌がって押し入れに入ってしまい、拭くことは出来なかった。
押し入れはひよりが一番落ち着ける場所だ。
ここへ入るという事は、もう放っておいてという合図。
心配でたまらないけど、こんなに私たちを避けているひよりを これ以上追いかけまわすことは出来ない。今夜は押し入れでゆっくり休んで欲しい。
「また明日ね」と挨拶をして、後ろ髪を引かれる思いで寝室へ引き上げた。
****************************
【後記】
この1週間、穏やかな時間を過ごしているうちに、もしかしたらこのまま、穏やかな時間をもうしばらく過ごすことが出来、そして眠るような理想的な最期を迎えられるんじゃないか・・・と思い始めていました。そんな時の急変。7回の嘔吐は想像以上で、何もしてあげられない自分が情けなくて、自分を責めて・・・ひよりから少し離れた場所で泣きながら謝り、見守ることしかできませんでした。
病院の先生からは「吐き止め薬を飲ませても効かなくなる時がくる」と聞いており、その時は覚悟をしましょうと言われていました。ですが、この日は覚悟なんてちっとも出来ていなくて、ただただオロオロするばかり・・・。先生に相談しようにも、「覚悟してください」と言われるのが怖くて電話も出来ず、結局ひよりのそばにいても何の役にも立たないクズ飼い主でした。。。
(’19.2.18)
神様がくれた1週間<7日目> ・・・’18.9.7のこと。
↓前回です。ひよりは大好物のスイカをおいしそうに食べてくれました。
爪研ぎの音
早朝、うっすら目が覚めてひよりのことをぼんやり考えていると、リビングの方から爪とぎをする音が聞こえる。
ああ、今日も爪を研ぐ力があるんだ、と安心する。
爪を研ぎたい気持ちがあることが嬉しくて鼻の奥がつーんと痛くなる。
ひよりは爪研ぎが終わるとすぐに寝室へ戻ってきた。
「ひよちゃん」と声をかけると、しっぽをピンと立ててくれた。でも一度もこちらを見ずにクローゼットの中へ。眠りたいんだね。
おはようの挨拶
起床時間になり、クローゼットのひよりに「おはよう」と挨拶すると、喉をゴロゴロ鳴らしてくれた。ひよりの『おはよう』の挨拶だ。
「ゆっくり眠ったらリビングに来てね。」と声をかけて朝の支度をしにキッチンへ。
夜のうちにおしっこが出ていた。おしっこシートをよく見ると、ストルバイト結晶のキラキラが見えるような気がした。やっぱり膀胱炎は治ってないのかな。。。
うんちは出ていない。そろそろ出てくれるといいんだけど。
“ころん”をする至福の時
16:00頃、ようやくひよりがクローゼットから出てくる。
今日は心配になるくらいよく寝ていた。
少しヨロヨロと歩いているように見える。トイレかなと思ったが、まっすぐソファのところに。
私は急いでソファに座り、膝にさそったが乗ってくる気配はない。自力で飛び乗る力が無いのかな・・・?
ソファの下で横になるので、その場でブラシをした。ブラシは気持ちがいいようで、ひよりは”ころん”をしてお腹を見せてくれた。
どんどん痩せてきているのが分かる。「その時」が近づいているようで怖くなる。
ブラシの後は、私もひよりの隣に”ころん”をして、ひよりと一緒にゆっくりと時間を過ごした。
そばにひよりがいる大切な時間。この時間は残り少ないんだろうか。
砂時計の砂がどんどん落ちていくような感覚に襲われて、焦るような気持ちになる。
9/7 幸せなブラシの時間
先生に聞くこと
開腹手術から今日で1週間。先生から病理検査の結果はまだ来ない。
結果の連絡が来たら、先生に聞いておきたい事がある。今のうちに質問事項をまとめておこう。
①がんの種類が分かった上で、余命はどれくらいと考えればいいか。
②これからどういう症状が出るか。考えられる症状を全て知りたい。
吐血、下血、けいれん・・・など。
③痛みで辛そうな時、病院に連れて行かずに私が出来ることは何があるか。
でも、本当に知りたいのは『ひよりがこれからどういう経過をたどって、いつお別れが来るのか』・・・。でも、症状はそれぞれで先生に聞いてもはっきりした回答はもらえない事も理解している…。
かわいい出来事
23:00頃、ひよりがクローゼットから出てくる。嬉しくて思わず抱き上げてしまう。そのままソファへ。しばらくヒザでくつろいでくれる。
昨日よりずいぶん痩せたように見える。今日はウェットフードをしぼったスープを一口しか飲んでいない。
目の焦点も合っていないような気が・・・。
不安な気持ちがこみ上げてきたところで・・・夫が大きなオナラをした。
!!!
ビックリして ひよりと私が同時に顔を上げる。ひよりと私、同時にビックリしたこと、そして同時に顔をあげた事が 可笑しくて可愛くて …夫と笑ってしまう。
ひよりも一緒に微笑んでいるようで、空気が柔らかくなった。
ひよりはヒザを降りてソファテーブルの下に落ち着く。今夜はここで寝るんだね。
痩せた体を横たえて目を閉じるひよりに「おやすみ、また明日ね」と ちゅーをした。
****************************
【後記】
開腹手術からこの日で7日がたちました。ちょうど1週間です。病理検査の結果はまだ出ていません。
「神様がくれた1週間」というタイトルが7回続きましたが、穏やかな1週間はこの日で終わりです。翌日からひよりは体調を一気に崩していきます。本当にタイトルの通り、1週間だけという期限付きで神様が用意してくれたかのような奇跡の1週間でした。
(’19.2.14)
神様がくれた1週間<6日目> ・・・’18.9.6のこと。
↓前回です。ひよりは力いっぱい爪とぎをする姿を見せてくれました。
ブラシをしながらお話
朝からひよりはリビングにいる。起床してみるときちんとお座りして出迎えてくれた。
寝る前に用意しておいたフードは食べていない。おしっこ少量。うんち無し。
ひよりが口をむにゃむにゃさせている。もしかして吐き気のサイン”くちゃくちゃ”では?と心配になり、様子を見ることに。
ブラシをすると気持ちよさそうにしている。良かった。吐き気はないようだ。
ブラシをしながらたくさん話をした。
「気分がいい日が長く続くといね。少しづつでも何か食べられるといいな。お水は毎日飲めるといいね。ブラシも毎日しようね。具合が悪くなったらすぐ言うんだよ、お薬をもらってくるからね・・・。」
時間をかけてブラシをして、「ごはん?」と聞いてみる。
何か食べたそうに私の顔を見るので、ウェットフードのペーストやスープを用意する。
顔の前に近づけてみるも、匂いをかぐだけで食べる気配なし。それどころかテンション低めにクローゼットにこもってしまう・・・。食べたくなかったのかな、気持ち悪くなっちゃったかな、ごめんね。そっとしておく。
ひよりは夜までクローゼットでゆっくり眠った。
ひよりの好きな物『スイカ』
ひよりの好きなスイカを買ってみた。スイカなら水分も摂れるし糖分だってある。果肉は食べられないだろうから果汁だけ少し絞ってみた。
22時頃、なかなか起きて来ないひよりの様子を見に、スイカの果汁を持ってクローゼットへ。ゆっくり眠っていた様子だったが、私を見て頭を上げてくれた。
スイカを顔に近づけてみる。ひよりは好物のスイカだと分かったようで、ハッとした顔をしてペロペロと舐めてくれた。嬉しくて嬉しくてたくさん果汁を絞った。
果汁をたくさん飲んだ後、ひよりはリビングに出てきて"ころん"をして、お腹を見せてくれた。スイカで水分と糖分がとれて、元気が出たのかな。やっぱり好きなもののチカラは大きいね。スイカパワーだね。
ひよりはスイカが大好き
調子に乗って反省
スイカを味わってから1時間くらいして、モンプチのスープ(コンソメ仕立て)をあげてみた。スイカ以外に何か"ごはん"らしいものを口に入れて欲しくなったのだ。
初めてのモンプチスープ、スープならいいかな...と思って買ってみたけど、どうだろう・・・
飲んでくれた!今日は1日スイカ以外 何も食べてくれないかと思ったから安心した。何か食べてくれるというだけで こんなに嬉しい。
ひよりは今夜はリビングで寝るらしい。ひよりに「おやすみ」をして寝室へ。
ふとんに入ったとたん、ひよりが吐いている音がしてビックリして飛び起きる。
・・・モンプチをたくさん吐いていた。
ひよりはテンション低めにクローゼットへ行ってしまった。ごめんね。私が調子に乗って食べさせたせいだね。
すぐ調子に乗る...私の悪いところだ。明日からは吐かないように少しづつ、ひよりの好きなものだけ用意しよう・・・。ごめんね、ひより。明日もゆっくり過ごせるといいね。
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【後記】
この頃はブラシをしながら、ひよりと話をしたり ちゅーをしたり・・・スキンシップをたくさんしました。もう数日するとひよりは 私のことを避けるようになります。この時のブラシの時間は今でも忘れらない、幸せをかみしめる時間でした。
ひよりはスイカが大好きで、スイカの気配を感じ取ると どこにいてもやって来て、スイカをおねだりしました。小さめに切ってあげるとザリザリと一心不乱に舐めます。スイカの皮の白いところが出てくるまで、いつまでもザリザリ舐めているほどスイカが好きな子でした。
そろそろ手術をしてから1週間。病理検査の結果が出るころでした。もう結果がどうであれ、やせ細ったひよりに更なる闘病をさせるつもりはなかったのですが、頭の隅で結果を気にしている私もいました。もし良性の腫瘍だったら?悪性でも転移が無ければ?・・・病院へはもう連れて行かないという固い決意があったにもかかわらず、矛盾した感情もありました。
(’19.2.7)
神様がくれた1週間<5日目> ・・・’18.9.5のこと。
↓前回です。ひよりは「にゃー」と鳴いて私を見上げてくれたり、膝に乗ってくつろいでくれたり、穏やかな時間を過ごしました。
“ころん”をする幸せ
明け方、ひよりがクローゼットからリビングへ移動する音で目が覚める。
今日も、動けていて歩けていることに感謝の気持ちが湧いてくる。
私もリビングに行ってみると、ひよりはソファテーブルの前に箱座り。具合が悪いのかな?とドキッとする。
「おはよう」と声をかけて恐るおそる撫でてみると、ころんをしてお腹を見せてくれた。良かった...。今日も体調は悪くなさそう。
お腹を見せてころん。ちょっと痩せちゃったね。
ごはんを食べる幸せ
さて、ゆうべ準備しておいたゴハンはどうか。
ゴハン・・・完食している!!うれしい!
調子に乗って、朝ごはんにシーバのウェットフードもあげてみる。もちろんそのままでは食べられないので、すり鉢でペースト状にする。
食べてくれた!!
うれしくて更に調子に乗りそうだったけど、また吐かせてしまったら大変なので、この辺にしておく。
水はやっぱり飲もうとしない。スポイトで口のあたりに1滴だけ垂らしてみる。ペロッと舐めてくれたが、嫌々舐めた感じだったので、無理強いはやめる。
ひよりは、クローゼットに移動。ゆっくり眠りたい様子・・・そっとしておこう。
爪を研ぐ幸せ
少し外出して戻ってみると、ひよりはリビングにいる。
体調はどうかな?ブラシに誘ってみると気持ちよさそうに応じてくれた。
ブラシの後は久しぶりに爪とぎをした!ヨロヨロと腰をふらつかせながらも一生懸命に爪を研いでいる。時間をかけてゆっくりと、まさに”一生懸命”といった感じ。時折、爪とぎに体ごと持っていかれそうになりながら、一心不乱に頑張っている。
力いっぱい爪を研ぐ姿が嬉しくて、また特別な贈り物をもらった気持ちになった。
腰をフラフラさせながらも 爪とぎをする姿を見せてくれました。
水を飲む幸せ
夜、夫と2人で片付け物をしていると、「何してるの?」という様子でひよりがやって来た。しばらくお座りして私たちを眺める。
私たちの観察に飽きると、ひよりはゆっくりと水飲み場に移動して、水の入ったお皿をふんふんし始めた。そして・・・ペロッ。自分から水を飲んでくれた!
一口飲んだ後、ちょっと神妙な顔をして水をジッと見ていたが、ゆっくりと腰を落ち着けて 水を飲み始めた。時間をかけて たくさん飲んでいる。良かった・・・!
脱水症状を心配していたので、本当に安心した。やっぱり飲みたくなったらちゃんと自分から飲んでくれるんだ。本当に良かった。
水に続き、ウェットフードをペースト状にしたゴハンをあげてみると、ちゃんと食べてくれた。食べる量は少ないけれど、食べたいものを選んで きちんと食べてくれている。ひよりは自分の体の事をちゃんと分かっているんだね。
今日もまた特別な1日だった。爪とぎをして、水も飲んでくれた。ひざでくつろいで、ごはんも食べて…病気になる前は当たり前の幸せだったけど、今は特別な奇跡のような幸せ。
どうか、どうかこんな時間がずっと続きますように・・・。
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【後記】
この日はひよりが久しぶりに爪とぎをしてくれました。嬉しくて嬉しくて泣きながら動画を撮りました。文中の写真は動画を切り取ったものです。
手術をしてからというもの、ひよりは元気だった時のように、何気ない日常の行動を少しずつ見せてくれました。ご飯を食べてくれて、にゃーと鳴いて見上げてくれて、膝でくつろいでくれて、喉をゴロゴロ鳴らしてくれて、水を飲んでくれて、爪を研いでくれて・・・。「これが『幸せ』っていうんだよ」と私に教えてくれているようでした。
(’19.2.1)
【番外編】脳の中のバケツリレー ・・・昨日のこと ~そして反省。
いつも読んで下さりありがとうございます。
この日記風のブログも、ひよりの最後の日が近づくにつれ筆が遅々として進まず、最近は更新の間隔が広がりつつあります...。
今日は番外編として「脳の中のバケツリレー」という題のブログを更新しようとしていました。とーっても後ろ向きな内容です。
そんな時に、私のリスペクトする”きーちゃん(猫さん♂)”の飼い主さん、ひよ爺親方さん(id:chakibineo0316)のブログが更新されました。
ひよ爺親方さんは、「アニマルコミュニケーション」に精通していて、実際にその活動もされています。そんなアニマルコミュニケーションの様子を時々記事にされていて、今回 私が胸を撃ち抜かれたのは下記(飼い主Mさんと愛猫グレ君の巻)です。
自分のことと重ね合わせて胸にズドーンと来てしまい、最後まで涙ダラダラで読ませていただきました。
ひよりも私がこんなにドンヨリ後ろ向きな事ばかり考えていることを嫌がっているのかな・・・と。
そして、今日更新しようとしていた暗い記事は以下です。。。
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脳の中のバケツリレー
昨日、ダメな日がやってきました。ひよりが旅立ってから49日もとうに過ぎ、年も明けて4度目の月命日を過ごし「もう落ち着きつつある」と感じていた矢先、それはやってきました。
生理前でもないし、むしろ終わったばかりだし、ホルモンバランス的には落ち着いている時期のはずなのに。
何でもかんでも後ろ向きにしか考えられなくなるというか、頭の中が『オマエガ ワルイ』ばかりで満たされてしまうというか。ひよりに対する後悔や自責がわーっと押し寄せてくる感じ。
『苦い薬も、強制給餌も、バリウムも、ひよりのために と思って決断したこと全部がひよりを苦しめた。
私の判断もやり方も、全部がひよりを苦しめるものだった。
ひよりに嫌な思いをさせたのは私。
ひよりの人生の最後を辛いものにさせたのは私。
ひよりを死なせたのは私だ。』
という思いが突然、ざばーっ ざばーっとやって来るのです。
脳みその中で誰かが、バケツリレーをしていて、『スベテ オマエガ ワルイ』が入ったバケツの中身を次から次へとぶちまけてくるみたいです。
止めようと思ってもバケツリレーは次から次へと勝手にやってくる。ここ(ブログ
)で懺悔して許された気になるなよ、と。『オマエノ ツミハ キエナイ』と。
こうなったらもう、私はただただ 涙と鼻水を垂れ流して ティッシュペーパーと時間を無駄にするより他、なす術がありません。
私がそんな たいそうな存在ではないこと、ひよりの生死を、運命を、左右する力など私にあるはずが無いことも分かっているんですけど、なにかの拍子でバケツリレーはやってきて、中身をぶちまけ続けます。
これから先も、変な周期でこれはやって来て、我が家のティッシュペーパーは無駄に消費されるのでしょうかね。
いい歳になってもバケツリレーをうまく操縦する方法が分かりません。人間ていうのは厄介な生き物ですなぁ。
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以上、真っ暗な内容(+_+)
これ、ひよりの立場で見てみたら、たまらないですね。。。
がっつり反省し、タイトルに「~そして反省」が付きました。
「人間と動物の愛と絆は、時間や空間なんぞで隔てられたり、変わるもんではないよ。 そんなちっぽけな愛じゃないからね!」
愛するどうぶつ家族さんとお別れした方へ、魂のメッセージ! - Love of Cats 猫たちからのギフト
なんでアタシはそんな簡単なコトに気づけないんだろうね。
ひよちゃんごめん、いつまでたってもポンコツだよ。
「アンタほんとに困った人だね。」